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ヘリ墜落事故について2(静岡県、EC135) [航空機事故]

12/9に起こったヘリの墜落事故(静岡県、EC135)がありましたが、続報がありましたのでもう一度書いてみます。

まず、12/10付で国土交通省より耐空性改善通報(AD?)が出ました。
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/12/121211_2_.html
PDFで壊れていた(と思われる)場所の解説がしてあります。

こちらは通常の報道です。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shizuoka/news002.htm
それでは昨日に引き続きツッコミを入れてみます。


全文を引用し、それぞれ解説します。

静岡市葵区の静岡ヘリポート近くの遊水池に9日、NHK取材用ヘリが墜落して2人が死傷した事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は11日、事故機は操縦席の足元にあり、機体の向きを制御するラダーペダルと、テールローター(後部回転翼)をつなぐ部品が破断していたと発表した。事故調は、この破断が機体の方向制御を不能にした可能性が高いとみて、オールニッポンヘリコプター(東京都江東区)から機体の整備状況を聞くなどし、部品の破断時期や原因を特定する方針だ。  破断していたのは、コントロール・ロッドと呼ばれる金属製の棒状部品。
>テールローターのギアボックスにつながる部分が破損していたという報道もありましたが、コントロールロッドなのですね。基本的に動力を伝達する部分ではない場所です。

 この部品は、後部回転翼の前の機体カバー内部にある。エンジンからの動力で回る後部回転翼の羽根の角度を変えて推力を調節する制御系統の一部分に当たる。操縦席のペダルから後方につながるケーブルの更に後ろにある。破断すると、ペダルを踏んでも羽根の角度を調整できず、機体の向きを変えられなくなるという。
>まあそうなのでしょう。

 同型機について詳しい元整備士(60)は、ペダルを操作するたびに前後に動くコントロール・ロッドの金属疲労の可能性を指摘した上で、「破断個所は、機体カバー内部にあるので見えにくい」とする。  この部分の破断に対し、「機体のバランスをとる後部回転翼を制御する装置の一部が切れてしまったのは重大な事態」と驚きを隠せない。
>この、「テールローターの制御装置が壊れたのは重大」というのはまさにその通りです。パイロットや関係者の方ならテールローターの重要性はよく理解していただけると思います。しかもロッドのボルトの締めめ忘れで外れたとかいうならまだ理解できますが、疲労での破断となるとさらに深刻です。
詳しくはまだわかりませんが、どうもそのような感じのようですね。

 同社は「(事故前の点検で)ペダルを踏んで動力が伝わっているのを確認し、異常はなかった」と説明している。事故機は1390時間の飛行時間がある。同社はこれまで2回、カバーを外すなどして目視点検しているというが、コントロール・ロッドの交換はしていないという。
>航空機の点検は基本的にはマニュアルに従って行われます。メーカー指定がなく、正規の点検で問題なければ交換はしないでしょう。これは当たり前の対応でしょう。

 一方、後部回転翼の不具合は、「機体がくるくると回りながら墜落した」という目撃証言とも符合しているが、事故調の台木一成首席航空事故調査官は「破断したのが飛行中か、墜落時かなどを調査していく必要がある」としている。今後、破断面の調査が重要な焦点になりそうだ。
>破断面の調査は今回の調査の焦点になると思います。直接動力を伝える場所ではないですが、ヘリにとってクリティカルな部分の故障なので、どのような故障であったかが重要です。
なお、疲労での破断と墜落時の損傷は破断面をみれば区別できます。破断面の調査というのはそういう意味でしょう。

 県警捜査1課と静岡中央署は11日も、午前10時ごろから墜落現場とその周辺を現場検証した。捜査員ら約30人が後部回転翼や操縦席部分を調べるとともに、飛散した部品などを金属探知機などを使って回収した。12日には、墜落したヘリの機体を現場の遊水池から回収。13日には被疑者不詳のまま、同社の本社を業務上過失致死傷などの疑いで捜索し、整備記録などの関係資料を押収する。

>いつも問題になりますが、警察が押収した資料は航空機事故調査委員会が自由にアクセスできるのでしょうか。とくに一度証拠物件となってしまうと調査が困難になるような気がします。たとえば、通常の犯罪での証拠物件を外部の人間が調べることができるのでしょうか。そんなことができるわけない気がします。
航空機事故は通常の犯罪とは違います。起こってしまった事故はしかたありませんが、大事なことはそこから学び次を起こさないようにすることです。大事なのは今ではなく、未来です。警察の捜査は本質的に過去に向かって行われるものですが、事故調査は未来に向ってするべきものです。
また当事者を責めるのは簡単ですが、当事者を責めてその責任にしてもなにも変わりません。むしろ当事者を責める事が事故原因の究明を妨げます。

日本はいつもそうですが、当事者の責任があるとしても、なぜそのような行動をとったかという背景を追及するほうが生産的です。たとえば「今回の事故の原因はパイロットのミスです。事故を起こさないように注意しましょう」といった報道がよくありますが、こんなのは何の意味もありません。
事故調査に関してはアメリカのNTSBのようなシステムにならないんでしょうかねえ。事故のたびにそう思い、悲しくなります。


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