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ヘリ墜落事故について3(静岡県、EC135) [航空機事故]

ヘリ墜落事故の続報です。

警察による運行会社の家宅捜索が行われているようです。あいかわらずですな。

事故原因について、同乗していた整備士の証言が報道されていました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071213i302.htm?from=main3


ここのところ連日ですが、例によって解説してみます。全文を引用します。

「ヘリ墜落直前まで不時着試み、生存の整備長証言」  静岡市の静岡ヘリポート近くの遊水池に9日、オールニッポンヘリコプター(東京都江東区)所有のヘリコプターが墜落して2人が死傷した事故で、重傷を負った整備長の亀山幸代さん(33)が静岡県警の事情聴取に対し、死亡した小宮義明機長(57)が、人家や線路など危険な場所を避けながら不時着を試みようとしていたと証言していたことが12日、わかった。
>自分も地上の人にも安全な場所に不時着しようとするのはパイロットの本能でしょう。当たり前といえば当たり前の話です。しかし、その当たり前のことをいちいち書くのがなんとなく腹立たしいです。

県警などによると、小宮機長は飛行中、機体の方向を制御するラダーの調子が悪くなったため、給油地として立ち寄る予定だったヘリポートまではたどりつけないと判断。
>「飛行中に」調子が悪くなったのいうのが重要です。途中で破断したか?
ヘリポートまでたどり着けないと判断したというのは、アンチトルクの故障でスリップさせる(後述)させることにより燃料を余分に消費した?あるいは燃料はあるがヘリポートには着陸できないと判断したか?
どうも後者なような気はしますが、この書き方だと前者に思えます。ただ、最後はキリモミで落ちたらしいので、その時点ではエンジンはフレームアウトしていなかったのだろうとはいえます。よくわかりませんね。

他の記事では、コントロールロッドは定期点検はしていなかったが、飛行前の簡単な点検では異常はなかったと書いてありました。
その記事を書いた人は、ヘリにおいてホバリングで要求されるパワーが非常に大きいと言う知識はないのではないかと思います。テールコントロールロッドが未接続の状態でホバリングしようとしたら、あっという間に左(EC135なら)にくるっと回ると思いますよ。
完全に離陸していなくても、スキッドにかかる重量が軽くなった状態で(地上で)そうなります。実際にはテールコントロールロッドの未接続に気づかず離陸する可能性はまずありません。
ただ、EC135においてラダーの操作力フリーの状態でテールローターの推力がどうなるのかは知りません。もしかしたら少しは推力が出る状態で留まるとしたらわからないかも。ただ通常推力の反力が推力を減らす方向に設計されるはず。そうしないとポジティブフィードバックのため操作が発散します。

その際、被害拡大を防ごうと、風などを利用して不時着できるような地形を亀山さんと話し合いながら探していたらしい。しかし、ヘリポートの手前約500メートル地点で墜落した。
>風をヘリポートに問い合わせたのはオートロのためでしょうね。オートロでは風に正対することはきわめて重要です。風が10ノット吹いていただけでもとても楽です。とくに、下がアスファルトの固い道路などならロールオーバーもしにくいですが、畑などで平滑でない場所ではとくに重要です。
アンチトルクが使えないときは、パワーを使いながら高速度を維持し、機種方位は尾翼で無理やり保持し(右斜め前に大スリップさせる)ます。その状況でも多分操縦はそれなりにできるはず(R22では可能)なので、場所を決めたらパワーを絞って一発勝負でオートロですね。
(ここは完全に推測です。ただ、ヘリの基本原理はR22だろうがEC135でも同じはず。間違っていたらぜひ指摘してください。)

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べによると、操縦席のペダルとテールローター(後部回転翼)をつなぐコントロール・ロッドと呼ばれる金属製の棒状部品が破断していた。破断すると機体の向きが変えられなくなるが、部品の外側に大きな損傷はなかったため、墜落時の衝撃での破断ではないとみられる。
>くわしい事故調査を待ちます。


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