モーターファンイラストレイテッド 「日産GT-Rのテクノロジー」 紹介 [GT-R]
モーターファンイラストレイテッドの待望の「GT-R編」が出ました。
少し前になるのですが、購入したので紹介してみます。
「GT-Rのすべて」などのGT-R紹介の良い本もこれまで出版されていますが、この本は一番よく出来ていると感じます。エンジンの構造などはいろいろなところで既出なのですが、やはりメカが好きな人向けの記事になっており、一味違います。
全体的には燃費(とくに高負荷時)とエミッションに深く配慮している印象を受けます。またGT-R自体の説明よりもサプライヤーの部品開発話のほうがはるかに面白いです。
それでは順番に書いてゆきます。
最初に感銘をうけたのが、リフトとドラッグです。
R35GT-RはCl(リフト係数)が-0.09(くらい)で市販車としては例外的にダウンフォースがあります。しかしすごいのはその状態でCdが0.27しかないことです。ダウンフォース自体はドラッグを犠牲にすれば得られるわけですが、これを両立しているのがすごいです。
ちなみにR34GT-Rだと、おなじClならCdは0.39くらいになるようです。
エンジンでは、タービンからのオイルを回収するスカベンジポンプがあるのに驚きました。しかもオイルポンプと同軸でシンプルな構造です。なるほどと思わせる構造ですね。ヨコG対策もしっかりしてあるようです。
タービンは大変だったようですね。あまり見たことのない、ハウジング一体型ターボですが耐久性の確保が大変だったとのことです。一体型にして昇温が速やかになったそうですが、これはある意味タービン交換が簡単にできないようにしたかったという理由もあるのではないかとかんぐりたくなります。(うがった見方でしょうか?)
DCT(トランスミッション)については、あまり新しい話はないですね。基本はMTで、それに湿式多版クラッチをタンデムに配置したトランスミッションです。なお、水冷式のオイルクーラーがついていますが、主題は昇温で冷却は二の次らしいです。IS-Fでも同じようなことが書いてありましたが、燃費に気を使っているのがよくわかります。
リヤのLSDは1.5Wayの機械式(多版式)だそうですが、耐久性は大丈夫なのでしょうか。そのうちイニシャルが下がってきたりして。
フロントエンドモジュールの構造はすごいです。CFRP(マトリックスはPP)だそうですが、すさまじい形状です。しかし、開発が進むにつれ剛性不足という話になったようで鉄製のプレートが付属しています。どうせならCFRP自体の形でカバーすればよかったのにと思いますが、いまさら型を作り直せなかったんでしょうね。どうせならプレートをドライカーボンにするなど徹底的にやればよいのにとおもってしまいます。
GT-Rのテクノロジー的なポイントはエンジンでは断じてなく、パワートレインとボディだとおもいますが、そういう意味でサブフレームはすごいです。とんでもない構造をしていますが、みればみるほど合理的です。
リヤサブフレームのパイプ厚はたったの1.6mmだそうですが、構造的にはどう見ても高剛性な構造であり、重量当たりの剛性は高そうです。もちろん素材も高剛性な「スチール」であり、そういう意味でも強そうです。
GT-Rの性能を支えているのはこのサブフレームだと思います。すごいですね。
ブレーキも興味深いです。
フロントのナックルを裏から撮影されていますが、ばかデカイキャリパーが3点のラジアルマウントで取り付けられています。こんなのはじめてみました。またナックル自体も軽量かつ高剛性を追求した形ですごいです。
ディーラーでキャリパーの実物を見ましたが、あっけにとられるほど大きいキャリパーでしたが、取り付け方も特殊ですね。
最後のほうにGT-Rの製造工場の記事がでてきますが、ここがもっとも面白い記事です。GT-Rの構造を考えると800万円弱という値段は超バーゲンプライスです。それを支えている工場の仕組みがよくわかります。
ニッサンよくやったとうれしくなる記事ですね。
いろいろGT-Rの解説本はでてきましたが、これは決定版といっていい本だと思います。
メカの説明もですが、やはりサプライヤーの記事がよいです。行間から「プライド」みたいなものを感じます。
各種の本で構造を知れば知るほど、GT-Rは安いと感じます。この性能のクルマをあの値段で売れるのは信じられません。
だいたいGT-RはポルシェのケイマンSと同じ値段ですが、性能ではまったく勝負にならないでしょう。997カレラはもちろん、997ターボでも勝負にならないのではないかと思います。(そもそもニッサン自身が997ターボを相手にしていない印象を受ける)
確実にポルシェに衝撃を与えたかと思うと爽快ですね。ぜひ毎年進化させていってほしいです。
少し前になるのですが、購入したので紹介してみます。
「GT-Rのすべて」などのGT-R紹介の良い本もこれまで出版されていますが、この本は一番よく出来ていると感じます。エンジンの構造などはいろいろなところで既出なのですが、やはりメカが好きな人向けの記事になっており、一味違います。
全体的には燃費(とくに高負荷時)とエミッションに深く配慮している印象を受けます。またGT-R自体の説明よりもサプライヤーの部品開発話のほうがはるかに面白いです。
それでは順番に書いてゆきます。
最初に感銘をうけたのが、リフトとドラッグです。
R35GT-RはCl(リフト係数)が-0.09(くらい)で市販車としては例外的にダウンフォースがあります。しかしすごいのはその状態でCdが0.27しかないことです。ダウンフォース自体はドラッグを犠牲にすれば得られるわけですが、これを両立しているのがすごいです。
ちなみにR34GT-Rだと、おなじClならCdは0.39くらいになるようです。
エンジンでは、タービンからのオイルを回収するスカベンジポンプがあるのに驚きました。しかもオイルポンプと同軸でシンプルな構造です。なるほどと思わせる構造ですね。ヨコG対策もしっかりしてあるようです。
タービンは大変だったようですね。あまり見たことのない、ハウジング一体型ターボですが耐久性の確保が大変だったとのことです。一体型にして昇温が速やかになったそうですが、これはある意味タービン交換が簡単にできないようにしたかったという理由もあるのではないかとかんぐりたくなります。(うがった見方でしょうか?)
DCT(トランスミッション)については、あまり新しい話はないですね。基本はMTで、それに湿式多版クラッチをタンデムに配置したトランスミッションです。なお、水冷式のオイルクーラーがついていますが、主題は昇温で冷却は二の次らしいです。IS-Fでも同じようなことが書いてありましたが、燃費に気を使っているのがよくわかります。
リヤのLSDは1.5Wayの機械式(多版式)だそうですが、耐久性は大丈夫なのでしょうか。そのうちイニシャルが下がってきたりして。
フロントエンドモジュールの構造はすごいです。CFRP(マトリックスはPP)だそうですが、すさまじい形状です。しかし、開発が進むにつれ剛性不足という話になったようで鉄製のプレートが付属しています。どうせならCFRP自体の形でカバーすればよかったのにと思いますが、いまさら型を作り直せなかったんでしょうね。どうせならプレートをドライカーボンにするなど徹底的にやればよいのにとおもってしまいます。
GT-Rのテクノロジー的なポイントはエンジンでは断じてなく、パワートレインとボディだとおもいますが、そういう意味でサブフレームはすごいです。とんでもない構造をしていますが、みればみるほど合理的です。
リヤサブフレームのパイプ厚はたったの1.6mmだそうですが、構造的にはどう見ても高剛性な構造であり、重量当たりの剛性は高そうです。もちろん素材も高剛性な「スチール」であり、そういう意味でも強そうです。
GT-Rの性能を支えているのはこのサブフレームだと思います。すごいですね。
ブレーキも興味深いです。
フロントのナックルを裏から撮影されていますが、ばかデカイキャリパーが3点のラジアルマウントで取り付けられています。こんなのはじめてみました。またナックル自体も軽量かつ高剛性を追求した形ですごいです。
ディーラーでキャリパーの実物を見ましたが、あっけにとられるほど大きいキャリパーでしたが、取り付け方も特殊ですね。
最後のほうにGT-Rの製造工場の記事がでてきますが、ここがもっとも面白い記事です。GT-Rの構造を考えると800万円弱という値段は超バーゲンプライスです。それを支えている工場の仕組みがよくわかります。
ニッサンよくやったとうれしくなる記事ですね。
いろいろGT-Rの解説本はでてきましたが、これは決定版といっていい本だと思います。
メカの説明もですが、やはりサプライヤーの記事がよいです。行間から「プライド」みたいなものを感じます。
各種の本で構造を知れば知るほど、GT-Rは安いと感じます。この性能のクルマをあの値段で売れるのは信じられません。
だいたいGT-RはポルシェのケイマンSと同じ値段ですが、性能ではまったく勝負にならないでしょう。997カレラはもちろん、997ターボでも勝負にならないのではないかと思います。(そもそもニッサン自身が997ターボを相手にしていない印象を受ける)
確実にポルシェに衝撃を与えたかと思うと爽快ですね。ぜひ毎年進化させていってほしいです。
2008-03-11 23:26
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