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青森沖ヘリ墜落事故 [航空機事故]

少し前(7/7)ですが、ヘリの墜落事故がありました。小川航空所属のヘリ(ユーロコプター AS350)を放送局がチャーターしていたとのことです。
機体は引き上げられましたが、かなり損傷がひどいとのことです。遺体は全員は見つかっていないそうですが、生存をお祈りいたします。
また亡くなったパイロットの冥福をお祈りいたします。

事故の報道はいろいろなサイトにあります。例を2つほど挙げておきます。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080711k0000m040075000c.html
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080707/dst0807070050001-n1.htm

それでは、例によっていろいろ思うところを書いてみます。

細かい状況などがわかりませんので、あまりきちんとしたコメントはできません。しかし、濃霧の中海上を飛んでいたとのことであり、事故原因としては空間識失調によるものの可能性が高い?のかと思います。

Wikipediaではこちら
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A9%BA%E9%96%93%E8%AD%98%E5%A4%B1%E8%AA%BF

英語版はこちら。こっちの方が良い記事です
http://en.wikipedia.org/wiki/Spatial_disorientation

ちなみにAOPA発行のこれも非常に良いです。
http://www.chadcoates.com/downloads/spatialdisorientation.pdf#search='AOPA spatial disorientation'


なにかでAS350は事故ると原形をとどめないくらい壊れると読みましたが、今回の写真を見ると確かにそうかも。ただ、これは70年代の設計で軽量に出来ていることの裏返しです。(だそうです)

Wikipedia - AS350
http://en.wikipedia.org/wiki/Eurocopter_Ecureuil
エキュレイユと発音します。フランス語でリスです。小型民間ヘリのベストセラーです。ちなみにスペックのところに書いてあるAS350B3はハイパワーバージョンです。極端にハイパワーですが、B2以下のモデルは普通です。
AS350はヘッドがリジッドであるため、運動性には定評があります。




ELT(Emergency Locator Trasmittor、要するに救命無線機)を搭載していなかったとのことですが、報道によるとたまたま交換中であったとのことです。これも、報道では「積んでいないことが悪い」という論調の報道が多かったですが、義務ではないわけですからそこを責めても仕方ないような気がします。「義務化されていないのがおかしい」というならまだわかりますが。

WikipediaのELTです
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F%E7%94%A8%E6%95%91%E5%91%BD%E7%84%A1%E7%B7%9A%E6%A9%9F

ELTはそんなに高いものではないので、航空機すべてに義務化しても良いような気がします。要するに小型機にも載せるということと同義です。



報道によると「濃霧なのになぜ飛んだ」とご家族から抗議を受けたとか読みました。全くそのとおりで反論の余地はありません。

ただ、パイロットは大変だと思います。たとえばドクターヘリや山岳救助ヘリが必要な状況で、霧が出ているとします。
遭難した人や患者の家族から「この程度の霧でなぜ飛べない?」などと抗議を受けることもあると思います。実際には墜落してしまえばみんな死ぬこともあるわけなので、パイロットは自分の責任で飛行しないことを決めればよく、おそらく規則ではそうなっているはずです。つまり、「霧だから今日は飛ばない」とすれば良い訳です。
しかし人情としてなかなかそうできないでしょう。とんでもなく悪い天気なら話は簡単ですが、微妙な天気とか、これから悪化する予報ではあるが今は大丈夫などというときには難しいでしょう。
もちろん飛ばなくても法的に問題はありませんが、ご家族の心情などを考えるとつい無理をしてしまうのは責められないと思います。

今回の事故でも同じような要因があるような気もします。そう考えると難しいですね。旅客機は逆に乗客とのコミュニケーションがない分だけラクだと思います。

実際に飛行機やヘリを操縦したことがなければ、天気の重要さ(というか危険さ)は実感出来ないと思います。
「ヘリだから空中で止まることもできるから大丈夫でしょう」などと思うかもしれませんが、それは決定的に間違っています。では視界ゼロの空中で止まっていることをどうやって認識しますか? 対気速度計は前進方向しか検出しませんし、対地速度はわかりません。



今回の事故では濃霧のなかで海上を飛んだようなので、(それが本当なら)それが悪いのは確かです。しかし、なぜそのようなルートを通ったのか、あるいはなぜ飛び立ったのか、など今回の事故のバックグラウンドを解明してほしいです。

「原因はパイロットのミス、気をつけましょう。」というような片付け方をして欲しくないです。次を起こさないために、背景に踏み込んだ事故調査を期待します。また、いい加減ひたすらパイロットの刑事責任を追及するのもやめた方が良いと思います(諸外国と逆です)

ELTがないことが問題なら、単に法律を改正すればよいわけですし。


まあ、色々書いてきましたがあくまで素人の判断ですし、正確な情報を持っているわけではないのでなんともいえません。正確かつ詳細な事故調査を期待します。
起こってしまった事故は仕方ないので、次を防ぐためにそこから教訓を読み取りたいものです。
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