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新型プリウス(30型) 試乗 [クルマ関係]

プリウスは各種メディアでべたぼめですが、本当にそうなのか試乗に行ってみました。
本来ならもう少ししてから行くべきかもしれませんが、プリウスの構造をみればみるほど興味深くなり、ガマンできませんでした。

例によって平日の昼間にアイでディーラーに行きました。もちろん服装はボロボロです。当然ではありますが、営業の人の対応はおざなりでした。やはり買う気が無いのがばれているのでしょう。
本当のことを言うと買う気が無いわけではありません。プラグインなら買ってもいいと思いますが、現時点ではプリウスは要らないです。といいますかこんなに売れまくっている車を買うのはなんとなくイヤですね。ひねくれていますので・・。

ちなみにディーラーに客が一人もおらず、営業の人もほとんどいませんでした。おそらくお得意様まわりをしているのでしょう。

乗った感想を一言でいうと、「正常進化」です。普通の車に近づいた感じです。月並みですが、そんな感想を持ちました。試乗したグレードは「G」でした。ツーリングパッケージはなかったと思います。うわさのソーラーパネルは付いていました。

プリウスのサイトです。
http://toyota.jp/prius/

それでは細かい点について書いてみます。


新型の感想を書く前に、初代と先代プリウスの乗り味について書いてみます。

まず初代(私が乗ったのは出たばかりの初期型)ですが、あの車は当時からすると徹底的に純エンジン車とは違いました。最低のブレーキフィーリング、ペニャペニャに感じるボディー、ひどい高速安定性であり、要するに走る機械としての完成度はめちゃくちゃでしたが、そんなことがどうでもよくなるくらい革命的な車でした。それらの欠点はある意味旧世代の価値観であり、そんなことを超越した魅力がありました。
街中で走る分にはさきほどのような欠点は表面化しにくいため、日本人のための、日本の道のための究極の日本車という印象でした。



それが先代になるとだいぶ普通になりました。
実際には大きいが小さく見えるボディー、ちょっと不安を覚える高速安定性、先代よりちょっとマシなブレーキフィーリング、非常に悪い後方視界、フィーリングに乏しいステアリングなど本質的には同じ路線です。
ただ、少しずつ改善されておりだいぶ普通に近づいた感じです。モーターアシストで2L級の動力性能があるとのことでしたが、確かにそうだと思います。
ナビ画面に燃費とかエネルギーフローなどが表示され、ゲーム的に面白い印象でした。そういう楽しみ方が出来ること自体に新世代の車という印象を持ちます。
ただ車と言うよりは電車のような感じは否めなかったです。なんとなく接地感の薄いステアリング、加速指示器のよう(電子制御スロットルだからまさにそうなのですが)なアクセルであり、走って面白い車では無かったです。
ただダントツの実用燃費であり、ベタ踏みすればそれなりに速い車であるので優れた実用車という感じを受けました。



そして今回乗った新型ですが、先代の評価と同じではありますが「さらに普通の車になった」というのが全体の印象です。
ここで普通の車というのはゴルフとかレガシイとかシャシーなど見えない部分ににコストをかけてマジメに作っている車という意味です。
こういうとひねりの無い感想と思われるでしょうが、この「普通」というのは最高のほめ言葉です。正直言ってプリウスのパワーパックをオーリスあたりに積んでメーターを偽装したら、乗ってもハイブリッドと気づかない人がいるのではないかと思ったくらいです。それくらい普通です。

まずは動力性能ですが、ハイブリッドのおかけで速いです。2.4L級といっていましたが、まあうそでは無いでしょう。ただ加速感はありません。ヒューっと加速する感じで、ケイマンみたいにガツンと加速する感じではありません。
踏み込んだ瞬間から即座にトルクが出てくるのですが、なぜかダイレクト感はありません。その意味ではケイマンのダイレクト感あふれる加速とは対極です。繰り返しますが、決してレスポンスが鈍いというわけではないので不思議な感じです。

ハンドリングについては、高速に乗れなかったので良くわかりません。ただ、ステアリングのすわりは確実に改善されています。まあまあまっすぐ走るようになったと言う評価ができると思います。
ただ、それでもプリウスのステアリングは「前輪の向きを変える装置」というよりは、「行きたい方向を示す手綱」という感じで、間に何か挟まったような印象はぬぐえません。まあ必要十分ですし、ゆっくり走れば関係ありません。
ただ確かに改善はされていますがゴルフVのすばらしい感触には全く到達していません。あれと比較してはいけませんし、ケイマンのようなハンドリングの妙な心地よさは望むべくもありません。まあそのようなものは最初から狙っていないと思うので、予定どおりなのでしょう。

高速域でのハンドリングはもっとも知りたいところですが、またいつか乗せてもらいましょう。おそらく周りの誰かが買うので乗せてもらうか、レンタカーでも借りようと思います。

乗り心地もだいぶよくなっています。路面のギャップを乗り越えたりするときの挙動はだいぶよくなりました。フラット感もそれなりにはあります。もちろんゴルフVの水準には到達していませんが、平均車速の遅い日本ではこのくらいがちょうど良い落としどころかもしれません。まあ問題ないレベルにはありますが、「気持ちの良い乗り心地」とまではいえない感じです。

ブレーキフィーリングはプリウスの弱点のひとつですが、これもまだ普通のレベルには達していません。もちろん制動力自体に不足は全くありませんので念のため。
ドライバーの指示に対して回生と油圧とをうまくミックスして制動力を作るわけですが、とくに微速域でのフィーリングはもう少しですね。ちなみにレクサスLS600hも回生+油圧ですが、あれのブレーキフィーリングは絶品です。「しっとり」止まりますので、回生だからフィーリングが悪いというわけではなさそうです。

エアコンは良く効きました。アイもケイマンもエアコンの効きは今ひとつなのでうらやましいです。さらにエンジンがかかる前からエアコンが効くのも未来的で良いです。気分の問題ですが。

インテリアですが、乗って最初に感じたのが結構狭いことです。後席に関しては明らかに広くなっていますが、ドライバーズシートは結構圧迫感があります。フロントウィンドの面積も狭く、ダッシュボードも長くフロントガラスまでが遠い感じがします。先代プリウスも遠かったのですが、ここまででは無かったように思います。その影響かもしれませんが、車が大きく感じます。とくに車の四隅が自分から遠くにあるような印象を受けました。
狭さという意味ではケイマンもかなりタイトな車ですが、思いのままに動くことなどから車の端まで神経が通っているような錯覚を覚えます。「ポルシェを着る」という昔の言葉が少し理解できるのですが、その評価軸ではプリウスは鉄人28号ですな。別のところから車を遠隔操作するという感じが漂います。
これはステアリングやアクセルの印象も同じ感じです。トヨタ車全体がそういうのを理想にして作っている印象があるので、統一感はあるのかもしれません。

後方視界は少し改善されました。先代プリウスはガラス面積はそれなりに大きいものの、視界のど真ん中にバーが入るため後方視界は劣悪でしたが、すこしマシになりました。これなら許容範囲でしょう。

燃費ディスプレイの場所はナビと兼用からセンターメーターのところに移動しました。もちろん解像度は落ちていますが、場所的には見易いところです。しかし、コントラストが不足していて見難いです。前のようにナビと同じ場所の方がきれいに表示できて良いような気はします。おそらく走行中に見すぎて危険ということになったのでしょう。いろいろ評価はあると思いますが、私は先代の方がいいような気がしました。

ステアリングスイッチは面白いです。感圧スイッチとか書いてありましたが、わかりやすいです。非常にわかりやすく操作が表示されると感じました。普段は表示が見えないので邪魔になりませんし、よく考えられた操作系と感じました。

センターコンソールは邪魔です。橋みたいになっていますが、あれも圧迫感の一因だろうと思います。


ちなみに停車時に少しでも傾いた場所だと、VSCのインジケーターが点くのには驚きました。セールスマンはセンサーが精密だからとか言っていましたが、そういう問題ではないでしょう。
そもそもプリウスを買うような層ではVSCといっても理解できないひとが多いと思います。スタビリティシステムはサーキットとかスキッドパッドに持ち込んで限界を超えれば、誰でも効果はわかりますが公道で体験は難しいでしょう・・。そもそもVSCの効果を口で説明するのは非常に難しいですね。「車両安定装置」というと正しいですが漠然としています。「スピン防止装置」というのは部分的にしか正しくない上に、今度は「スピンって何」という話になりそうです。そういう意味で説明が難しい装置です。

今回のプリウスではVSC(正確にはS-VSC)は全車標準装備なので、ユーザーが納車時に説明を受けていないこともあると思います。そういう人に説明するのは難しそうですね。これは要改善でしょう。ただ個体差かもしれません。
ちなみに私はケイマンのPSM(=ポルシェ版VSC)をしょっちゅう作動させており、PSMのありがたさは身に染みてわかっています。プリウスにVSCを全車標準にしたのは当たり前ではありますが、英断だと思います。




試乗中に納期を聞いてみましたが、今の段階で納車待ちが6ヶ月くらいだそうです。ポルシェの納期に比べれば大したことは無いともいえますが、勢いで買うような人にとっては買う気をなくすのに十分な期間かもしれません。増産体制を整えているようですので、もう少ししたら話が変わるのかもしれません。今回ぜんぜん売る気を感じなかったのは、これ以上売れては困るからなのかも・・。

ちなみに先代の継続販売バージョンであるプリウスEXの納期は2ヶ月くらいだそうです。新型のあまりの納期の長さから、EXに切り替えた人が結構いたらしいです。それなら先代の中古を買えば納期もゼロだと思ってしまうのは、わたしが中古好きだからだでしょうか。



まあ、全体的にはプリウスの完成度は確実に上がっていました。やっとハイブリッドという言い訳をせずに買える車になった感じですね。

しかしこのプリウスの価格ははっきり言って安すぎです。この戦略ではトヨタのセールスマンは困っているのではないでしょうか。とくにベースになったオーリスやセダンなどの居場所がなくなったのではないでしょうか。
もうカローラやオーリスを買う理由がなくなってしまったような気がします。これからトヨタの車種の大整理が始まるような気がしました。ついでに要らんディーラーもつぶす気なのでしょう。

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