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「Vehicle Dynamics I」モーターファンイラストレイテッドNo33 [クルマ関係]

今回はモーターファンイラストレイテッドシリーズのNo33である「Vehicle Dynamics」特集を取り上げます。

このビークル・ダイナミクスというのは、非常にわかりにくい言葉だと思うのですが、要するにアンチロックブレーキ(ABS)、トラクションコントロール(TSC)、横滑り防止装置(ESC)のことです。
本来はもっと高尚な概念の言葉なのでしょうが、具体的にはそのような装置のことを指しているといってだいたい正しいでしょう。

このシリーズはいい本ぞろいだと思いますが、この号もかなり傑作です。

こちらです。

順番に紹介していきます。

最初の方にはアイMiEVの紹介もあります。フレームの写真もありましたが、もともとアイのフレームは半分ラダーフレームのようにクロスメンバーが入っています。さらにその間にバッテリーフレームが設置されます。この形状は剛性に効きそうです。そのあとにはほかのEVの話もちょくちょくでてきます。

なぜかその後は、スーパーGT用で使用されている個人用エアコンの話です。車内全体を冷やすのではなく、シートとヘルメット用のエアコンです。シートの表面とヘルメット内、首あたりを直接空調する仕組みになっています。もちろん車内全体のエアコンよりパワーロスが少ないそうです。
この記事は結構興味深かったです。これはあくまでレースカー用の装備なのですが、市販車にも応用できるのではないかと思いました。そもそもキャビン内をすべて空調するのはエネルギーの無駄でしょう。暖房時にはシートヒーター、冷房時には冷風によるシートベンチレーションを行えばかなり省エネルギーになると思います。
とくに電気自動車とかハイブリッドでは高効率であるが故に、相対的に空調がパワーを食いますので改善は大いに意味がありそうです。

その後はショーに展示されていたいろいろな部品の紹介があります。ありとあらゆる部品が紹介されていますが、プリウスの電動ウォーターポンプなどもありました。



その後は車の力学?の基礎知識の解説です。ごく当たり前のようですが、丁寧にわかりやすく説明されています。

続いて、STIの辰巳氏の哲学の紹介?です。ここは非常に参考になる、といいますか納得できる理論の展開です。非常に簡単に要約すると、「微小操作に対する反応のリニアさが重要」と言っているわけですが、これは非常に納得できます。経験的に欧州車にそのようなフィーリングの車が多いそうですが、ケイマンはまさに当てはまると思います。スペック的には特記すべきことは何もないのですが、80km/hくらいでそのあたりの道を普通に走るだけで感じる「心地よさ」はここから来ているのでしょう。ちなみに、その後には、最近はわかりやすさを狙ってゲインを急激に立ち上げる車が多くなってきたことが危惧されるそうです。それも思い当たるフシはあります。
ちなみに何度か試乗したレクサスIS350はまさにこの悪癖にどっぷり漬かっている車です。スポーティさを過剰なレスポンスと履き違えているとしか思えません。スポーティさとは「ドライバーの操作に対して、忠実に反応すること」というのがあるひとつの定義だと思うのですが、全くそうなっていません。だからIS350のエンジン単体はすばらしいですが、全く買う気にはなりません。その意味ではケイマンの方がはるかにいい車です。



次はABS、TCS、ESCの各システムの構成の解説です。ESCは最近は電動パワステとの連携で舵角までコントロールするようになっていますが、そのあたりの解説もあります。そのあたりについては私は細かい解説はできませんし、あまり意味もありませんので割愛します。
なお、2007年のデータだそうですが、欧州や米国では法規制もあり新車への装着率は半分くらいだそうです。中国でさえ6%ありますが、日本はたったの14%だそうです。ちなみに韓国は19%です。
やはり日本人はわかりやすい機能にはお金を払うが、効果はあるもののわかりにくい機能にはお金を出さない傾向にあるというのが実感としてわかります。ちょっと情けないです。


次はバイク用ABSです。
わたしはホンダのCB1300SFのABS付きに乗っていますが、バイクこそABSが必要です。車とは必要性の次元が違うとまで思います。

しかし、バイク用のABSの開発は4輪よりはるかに難しそうです。そもそも車輪が2つしかない上に、重心が高く荷重移動がかなり大きくなります。いろいろな意味で難易度が高そうですが、CB1300のABSでも恩恵は非常に大きいです。そうそう使うものではありませんが、安心感は絶大です。正直言って、もうABSなしの(大型)バイクには乗る気がしませんね。
さらに、最新型のCBRでは電子制御ABSがとうとう導入されました。コストが際限なく上昇しそうですが、出来は相当いいらしい。ABSが付いていることが認識できない(?)というレベルの完成度だそうです。ぜひ体験してみたいです。



最後のほうには、今度は周辺システムの展示の紹介です。ここもいろいろありますが、カーボンプロペラシャフトなどもあります。
ちなみに途中にアイMiEVのエアコンが出てきます。
コンプレッサーは当たり前ですが電動です。ヒーターはPTC素子によるジュール熱加熱です。最高出力は5KWだそうですが、微妙な能力ですね。もちろんこんなものをフルパワーで常時使用したらバッテリーはどんどん減りそうです。逆に5KWを加熱能力として考えると、厳寒期では足りないのではないかと思います。やはり全席にシートヒーターを装備して空調を手抜きすべきです。
またモーター、インバーターの廃熱の回収をしているのかどうかが気になります。



とりとめなくいろいろ書きましたが、やはり全体を通してよく出来ています。ESCがどのようなものか興味がある方は購入をお勧めします。
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