Newフィットハイブリッド [クルマ関係]
最近というかやっとというか、新型フィットが発売となりました。以前からフィットハイブリッドはパワートレインが一新されるということは言われていましたが、期待通りの構造でした。ちょっと感銘をうけたので、今回の記事はわかる範囲で解説してみます。
新型フィットハイブリッドからは、「意地でもトヨタのまねをしない」という意気込みが伝わってきます。パテントを避けるという実際的な意味もあるでしょうが、それだけとも思えません。久しぶりにホンダスピリッツ?を感じました。
私は、エンジニアのこだわりみたいなものを直に感じるような製品が好きです。その意味でフィットハイブリッドは心に響きます。アイからの買い替えをマジメに検討中です。
「モーターファンイラストレイテッド No84 トランスミッション」
今回の記事で参考にしたのは、上記の本と、「フィットのすべて」および、ホンダのWebページです。
「フィットのすべて」
ホンダのWebはこちらです。
「Fact Book フィット」
http://www.honda.co.jp/factbook/auto/fit/201309/
いつもですが、ホンダのFACT BOOKはかなりテクノロジー解説が面白いです。"ホンモノ”のアトキンソンサイクルエンジン、とか。
http://www.honda.co.jp/factbook/power/cogene/201105/index.html
「新型フィットのすべて」は、全体としては非常によくできています。しかし、今回取り上げるフィットハイブリッドのパワートレーンに関しては、あまり突っ込んだ解説がされていません。
一番詳しいのは、「モーターファンイラストレイテッド No84」か、ホンダの「FactBook」だと思います。
私は車はメカニズムにしか興味がありません。そのため値段とか燃費とか、そういうものには触れません。そんなものはベストカーとか月刊自家用車あたりを読めばいくらでも書いてあります。
今回のフィットは、ハイブリッドと純ガソリン車でトランスミッションが異なります。準ガソリン車はCVT(とMT)であり、特にCVTは以前のフィットと同じ形式です。こちらもキャパシタ内蔵など、いろいろ注目点はありますが、飛び道具はありません。まあ、特に1.3Lは価格がハイブリッドよりも大幅に安いため、よっぽど走らなければガソリン代で元を取ることなど不可能でしょう。その意味で注目グレードなのかもしれません。
メカニズム的に特に取り上げたいのはフィットハイブリッドです。こちらは前評判通りトランスミッションがDCT(Dual Clutch Transmission)になりました。Luk社が製造しているようですが、事実上日本の(大量)量産車で初の採用でしょう。もちろんランエボやGT-RあるいはNC700、VFRなどがあるのは重々承知ですが、GT-Rが量産車かというと微妙なところもあると思います。
また、今回ホンダにとっての悲願であると思われる「純モーター駆動」が可能となりました。これは単にEVモードで発進できるということにとどまらず、純回生ブレーキが可能になったということを意味します。さらに電子制御ブレーキにもなり、ますます有効な回生ブレーキになったようです。
Figure:Fact Bookより
上記がフィットハイブリッドのトランスミッションの構造です。
基本的にはタンデム配置(同心円配置でなく)のクラッチで、偶数段軸と奇数段軸のデュアル配置です。今回のフィットでの驚きは、ギアセットが2-4-6速と3-5-7速の二つになっていることです。1速はモーターの内側に配置したプラネタリギアでの変速を追加することで実現しており、それを3速ギア経由で出力しています。この構造にはビックリです。ホンダはクラリティFCXやフィットEVでも同軸構造のモーターを採用していますが、あまりスペース的に重要でないモーターの内周側をギアにするとは素晴らしいです。同軸構造が好きなんでしょう。
ただし普段は2速発進だそうです。ではなぜ1速がいるのかというと、どうも電池を使い切った状態で、純エンジンで発進するときなどに使用するらしいです。そんな状況はレアだと思われるので、割り切ればよいと思いますが、そういうわけにもいかなかったようです。
上記の「フィットのすべて」によると、新型フィットは「何も我慢しない」あるいは「足し算」で作ったクルマらしいですが、その発想はいろいろなところから感じますね。
フィットハイブリッドのDCTの構造の特徴は、「モーターが奇数段軸のみに接続されていること」だと思います。結果的にということではありますが、エンジンが完全に切り離せる構造 (要するに両方のクラッチを切るだけ) になっていることが特徴でしょう。
エンジンとモーターの両方を使用している場合は問題ないでしょう。エンジン側のクラッチを接続し、あわせてモーターでアシストすればよいわけでしょう。どのような割合でも使用できるはずです。要するに単なるパラレルハイブリッドということです。
問題は減速時とEV走行時でしょう。EV走行時と純回生時(この二つは同じ意味です)は、偶数段のクラッチは接続できませんので、奇数段のみでの走行になります。つまり、1、3、5、7速のどれかということになります。まあ偶数段が使用できないことは、実際には問題にはならないかもしれません。
また電池が満充電で、偶数段でエンジンブレーキのみで減速している場合、再加速でモーターを駆動するときは奇数段クラッチの接続が必要になるのでしょうか?あるいはモーターが連れ回っているときの損失はどのくらいあるのでしょうか。
エンジンは当然ながらミラーサイクルです。いろいろな特徴はあるのでしょうが、ある意味びっくりしたのが、”アイシン製”の電動ウォーターポンプの採用です。いよいよトヨタ系?サプライヤーからの採用でしょうか。ちなみにフィットハイブリッドはアクアと同じく補機ベルトレスですが、フィットのウォーターポンプはアクアのものと外観はそっくりです。もしかして同じもの?
あとは、今回のフィットハイブリッドでのテクノロジー的特徴のもう一つが、「電動サーボブレーキ」でしょう。トヨタでは初代プリウスから採用している、回生と油圧ブレーキのミックスを電子制御で行う構造です。ある意味アイMiEVと対極の構造といえるかもしれません。フィットEVやアコードのものと同じような構造なのかもしれませんが、回生効率をたかめるには必須の構造といえるので、今回やっと採用したということかもしれません。
いろいろ書きましたが、今回のフィットハイブリッドはかなりよさそうです。欲しいですが、問題は売れていることです。わたしはよく見る車は嫌いなので、その意味では今度のフィットは条件には合わないでしょう。悩むところです。まあハイブリッドの4WDが出てから考えましょう。
新型フィットハイブリッドからは、「意地でもトヨタのまねをしない」という意気込みが伝わってきます。パテントを避けるという実際的な意味もあるでしょうが、それだけとも思えません。久しぶりにホンダスピリッツ?を感じました。
私は、エンジニアのこだわりみたいなものを直に感じるような製品が好きです。その意味でフィットハイブリッドは心に響きます。アイからの買い替えをマジメに検討中です。
「モーターファンイラストレイテッド No84 トランスミッション」
【送料無料】Motor Fan illustrated(vol.84) |
今回の記事で参考にしたのは、上記の本と、「フィットのすべて」および、ホンダのWebページです。
「フィットのすべて」
【送料無料】新型フィットのすべて |
ホンダのWebはこちらです。
「Fact Book フィット」
http://www.honda.co.jp/factbook/auto/fit/201309/
いつもですが、ホンダのFACT BOOKはかなりテクノロジー解説が面白いです。"ホンモノ”のアトキンソンサイクルエンジン、とか。
http://www.honda.co.jp/factbook/power/cogene/201105/index.html
「新型フィットのすべて」は、全体としては非常によくできています。しかし、今回取り上げるフィットハイブリッドのパワートレーンに関しては、あまり突っ込んだ解説がされていません。
一番詳しいのは、「モーターファンイラストレイテッド No84」か、ホンダの「FactBook」だと思います。
私は車はメカニズムにしか興味がありません。そのため値段とか燃費とか、そういうものには触れません。そんなものはベストカーとか月刊自家用車あたりを読めばいくらでも書いてあります。
今回のフィットは、ハイブリッドと純ガソリン車でトランスミッションが異なります。準ガソリン車はCVT(とMT)であり、特にCVTは以前のフィットと同じ形式です。こちらもキャパシタ内蔵など、いろいろ注目点はありますが、飛び道具はありません。まあ、特に1.3Lは価格がハイブリッドよりも大幅に安いため、よっぽど走らなければガソリン代で元を取ることなど不可能でしょう。その意味で注目グレードなのかもしれません。
メカニズム的に特に取り上げたいのはフィットハイブリッドです。こちらは前評判通りトランスミッションがDCT(Dual Clutch Transmission)になりました。Luk社が製造しているようですが、事実上日本の(大量)量産車で初の採用でしょう。もちろんランエボやGT-RあるいはNC700、VFRなどがあるのは重々承知ですが、GT-Rが量産車かというと微妙なところもあると思います。
また、今回ホンダにとっての悲願であると思われる「純モーター駆動」が可能となりました。これは単にEVモードで発進できるということにとどまらず、純回生ブレーキが可能になったということを意味します。さらに電子制御ブレーキにもなり、ますます有効な回生ブレーキになったようです。
Figure:Fact Bookより
上記がフィットハイブリッドのトランスミッションの構造です。
基本的にはタンデム配置(同心円配置でなく)のクラッチで、偶数段軸と奇数段軸のデュアル配置です。今回のフィットでの驚きは、ギアセットが2-4-6速と3-5-7速の二つになっていることです。1速はモーターの内側に配置したプラネタリギアでの変速を追加することで実現しており、それを3速ギア経由で出力しています。この構造にはビックリです。ホンダはクラリティFCXやフィットEVでも同軸構造のモーターを採用していますが、あまりスペース的に重要でないモーターの内周側をギアにするとは素晴らしいです。同軸構造が好きなんでしょう。
ただし普段は2速発進だそうです。ではなぜ1速がいるのかというと、どうも電池を使い切った状態で、純エンジンで発進するときなどに使用するらしいです。そんな状況はレアだと思われるので、割り切ればよいと思いますが、そういうわけにもいかなかったようです。
上記の「フィットのすべて」によると、新型フィットは「何も我慢しない」あるいは「足し算」で作ったクルマらしいですが、その発想はいろいろなところから感じますね。
フィットハイブリッドのDCTの構造の特徴は、「モーターが奇数段軸のみに接続されていること」だと思います。結果的にということではありますが、エンジンが完全に切り離せる構造 (要するに両方のクラッチを切るだけ) になっていることが特徴でしょう。
エンジンとモーターの両方を使用している場合は問題ないでしょう。エンジン側のクラッチを接続し、あわせてモーターでアシストすればよいわけでしょう。どのような割合でも使用できるはずです。要するに単なるパラレルハイブリッドということです。
問題は減速時とEV走行時でしょう。EV走行時と純回生時(この二つは同じ意味です)は、偶数段のクラッチは接続できませんので、奇数段のみでの走行になります。つまり、1、3、5、7速のどれかということになります。まあ偶数段が使用できないことは、実際には問題にはならないかもしれません。
また電池が満充電で、偶数段でエンジンブレーキのみで減速している場合、再加速でモーターを駆動するときは奇数段クラッチの接続が必要になるのでしょうか?あるいはモーターが連れ回っているときの損失はどのくらいあるのでしょうか。
エンジンは当然ながらミラーサイクルです。いろいろな特徴はあるのでしょうが、ある意味びっくりしたのが、”アイシン製”の電動ウォーターポンプの採用です。いよいよトヨタ系?サプライヤーからの採用でしょうか。ちなみにフィットハイブリッドはアクアと同じく補機ベルトレスですが、フィットのウォーターポンプはアクアのものと外観はそっくりです。もしかして同じもの?
あとは、今回のフィットハイブリッドでのテクノロジー的特徴のもう一つが、「電動サーボブレーキ」でしょう。トヨタでは初代プリウスから採用している、回生と油圧ブレーキのミックスを電子制御で行う構造です。ある意味アイMiEVと対極の構造といえるかもしれません。フィットEVやアコードのものと同じような構造なのかもしれませんが、回生効率をたかめるには必須の構造といえるので、今回やっと採用したということかもしれません。
いろいろ書きましたが、今回のフィットハイブリッドはかなりよさそうです。欲しいですが、問題は売れていることです。わたしはよく見る車は嫌いなので、その意味では今度のフィットは条件には合わないでしょう。悩むところです。まあハイブリッドの4WDが出てから考えましょう。
2013-10-01 23:23
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