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トランスミッション(DCT) 感想 [GT-R]

GT-Rを購入したことは別記事に書きました。1か月前に納車されたGT-Rで買い物に行ったりしていますが、だんだん車体の大きさには慣れてきました。
街中をしずしず走るときなどにはかなり違和感のある車ではありますが、トランスミッションの出来はかなり良いと思います。それでも超低速走行をするときにはトルコンATのほうがすぐれているというときもあり、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)は万能ではないように感じました。今回はGT-RのDCTについて書いてみます。

2ペダルの証拠です。GT-RはAT限定免許でも乗れます。
2pedal_R35.JPG



まずは、DCTがどんなものかについてはWikipediaが良くできています。

Wikipedia - デュアルクラッチトランスミッション
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

この記事の執筆時点(2014/3)では、日本車でDCTを採用しているのはランエボとGT-Rとフィットハイブリッド、ヴェゼルハイブリッドだけのようですね。これがVWグループ(アウディもポルシェも含む)になるとかなりたくさんありますが、日本車ではきわめて少ないです。GT-Rとランエボは量販車種ではありませんが、ホンダのフィットとヴェゼルはかなり売れるタイプの車なので、車種数は少ないですが、総数はそれなりの数になるのかもしれません。



DCTが何たるかということに関しては、モーターファンイラストレイテッドが非常に詳しいです。特に詳しいのはVol.52であり、特集名も「MT/DCT」となっています。

楽天Booksではこちら。なお、Koboにもあります。
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上記の本を読めば、DCTについては一通りのことはわかると思いますが、要するにDCTの構造は「MTを自動化したトランスミッション」とでもいうべきものです。
その意味で、MT比率がいまだに高い欧州メーカーがDCTに舵を切ったのは当たり前かもしれませんし、プラネタリ式ATが嫌いなホンダが、日本で事実上唯一の(大量)量産車でのDCT採用もわかります。莫大な工場への投資を回収しないといけないので、トランスミッションの形式はそうそう変えられるものでもないのが現実でしょう。

あとは車の使用モードですね。モーターファンイラストレイテッドの執筆陣は「ドイツ車バンザイ」というところがありますが、以前は”DCTは理想のトランスミッション”という感じでの取り上げ方でした。そして、DCTの対極にあるともいえるベルト式CVTは”最低”という感じで書いていましたが、それも極端でしょう。
高速巡航が多いならDCT(あるいはMT)が優れているのは当たり前であり、それには異論はありません。ただし、そんな使用モードは日本では主流ではないでしょう。ある意味CVTは日本向けというところもあるので、要は適材適所だろうと思います。
ただし、最近は””DCTは万能”という姿勢はだんだん減ってきているように思います。数年間で執筆陣の考え方が変わってきたように感じます。

なお厳密な意味での自動化MTであるAMTは、国内で最近発売された国産車ではほとんど唯一の例はレクサスLFAであり、それに比べるとDCTはまだメジャーなのかもしれません。



まず根本的にDCTというのは、速く走るときにはあまり問題は出ません。VWのものについてもスポーツ走行をする時に良くないという話は最初からありませんでした。問題はゆっくり走るときで、とくに渋滞などの微速前進や停止を繰り返す時のマナーが問題だといわれていました。また、トルコンはないので、クリープがあるとかないとかというのも、よく問題になっていました。

結論から言って、GT-RのGR6トランスミッションは大きな問題はありません。渋滞もそれなりに走りましたが、普通に走れます。渋滞にはまっても、それほどガツンガツンとショックが来るわけではありません。GT-Rはクリープがあるように設定されていますが、その挙動もまあまあ自然です。

ちなみに、アクセルを半分以上踏んでいるときには、GR6は素晴らしいトランスミッションです。瞬時に変速を完了し、加速はまったく途切れません。切れ味も鋭く、なにもいうことはありませんが、GT-Rで半分アクセルを踏むということは、要するに猛烈にかっ飛ばすということを意味するので、街中では非現実的です。GT-Rはアクセル開度を20%以下に維持しても、街中では後れを取ることはありませんね。狂気のハイパワー車です。



GT-RのDCTで問題と感じるのは、例のアクセルをちょっと踏んだ時のカラカラ音と、前進後進を繰り返すときのショックです。普通の発進では良いのですが、Uターンなどでバックと前進を繰り返した時には、どちらも結構ショックが来ます。トルコンATならなめらかに切り替わるので問題ないですが、GT-Rでは気になります。
とくに、GT-Rは小回りが利かないので、狭い道でUターンするときなどに切り返しが良く必要になります。そういう時に非常に気になりますね。
そういう時はちょっと焦っているので、急いでアクセルを多めに開けてしまうことも多いです。そして唐突にクラッチがつながる印象があります。

セカンドカーのアイ(トルコンAT 4速、ロックアップ付き)に乗ると、トルクコンバーター(トルコン)という装置のスターティングデバイスとしての優秀さを感じます。

なお、トルクコンバーターの説明はこちらを。 Wikipedia - トルクコンバーター
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%BF

トルコンはずっと昔からある機構ではありますが、いまだに淘汰されるような雰囲気は皆無です。もちろんもともとトルコンがないトランスミッションも多いですが、ステップATとトルコンはほぼ同義になっています。(メルセデスのSL AMGなどの例外はありますよ。念のため。)
アイはいまだに4速であり、ロックアップをすぐ離す傾向のあるATです。2006年の発売当時からイマイチと言われ続けていましたが、それはその通りではあります。
ただしトルコンはダイレクト感はあまりないものの、微速時のスムーズさ、振動の遮断、適度なトルク増幅などスターティングデバイスとしては理想と言ってよいものだと思います。クリープなどもあってもなくてもよいような気がしますが、クリープに慣れているとやはりないと不便ですね。

といいつつも、シャキッと走るときにはDCTのダイレクト感は素晴らしいです。渋滞では面倒ですが、それでもMTのほうがダイレクトではあるものの、まあ通常の使用モードでは問題になることはないでしょう。
これ以上スムーズにして、微速時にトルコン並みの滑らかさを狙うならば、進むべき方向はモーターでの発進しかないでしょう。これはハイブリッドになるといわれている次期GT-Rの進むであろう道であり、そしてフィット(あるいはヴェゼル)が選択した道です。




個人的にはMTはまだ死んでいないと思いますが、ハイブリッドにして渋滞専用の純EVモードみたいなものを作ればよいと思います。シフトポジションに「EVモード」というところを作り、そこにギアが入っていれば純粋なEV駆動しかできないということにすればよいでしょう。そして最高速度は30㎞位にして、EV駆動中はエンジンに発電負荷をかけてシリーズハイブリッド状態とすれば現実的には十分だと思います。これならモーターのパワーもほんの少しでよいでしょうし、電池容量も大して必要ではありません。日本の大都会ではともかく、欧州や日本でも田舎なら受け入れられるかもしれません。
いまさらMTなんて、と思う人もいるかもしれませんが、渋滞さえなければMTはそんなに面倒なものではありません。慣れれば何も考えることなく扱えるものです。そして、優秀なエンジンと組み合わせると、MTほど速度管理のしやすいトランスミッションもありません。この意味ではケイマンはとても優秀でした。




色々書いてきましたが、GT-RのGR6は優秀なDCTです。
制御の緻密さではポルシェのPDK(おそらくVWのDSG)にも届いていないかもしれませんが、実用上問題ありません。しかし、完全な並行軸式であそこまで扁平かつ低重心なトランスミッションは稀です。その意味でとても贅沢なトランスミッションです。
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