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981ケイマンMT 試乗 [ケイマン]

このたびディーラーで試乗会が開催され、981型ケイマンのMTの準備があるとのことでお誘いがありました。GT-RはGT-Rでよいクルマですが、ケイマンMTに乗れるのは貴重な機会と思い試乗してきました。

当たり前ですが、987前期(前乗っていた旧ケイマン)と比べて、981ケイマンは基本的には同じコンセプトです。いろいろな意味で洗練されていますが、フィーリングはとてもよく似ています。そして、やはりケイマンはスポーツカーです。ケイマンに乗って思いましたが、やはりGT-Rはスポーツカーとは言い難い(レーシングカー)ということを強く感じました。

981は987と比べて、ネガはきちんとつぶされています。さらに間口が広がりだれにでも勧められる車になってきています。(”軟弱化”という人もいるかも)

このあたりに関しては自分で体感してみないとわからない部分も多いですが、今回は自分が乗った感想を書いてみます。特にMTの試乗記はレアだとおもいますので、参考になればうれしいです。

試乗車はこちら。ちなみに当地は豊橋からはるか遠く離れています。
cayman_1.JPG

まず最初に解説を入れておきます。ケイマンは2006年発売の987型と、2013年発売の981型に分かれます。987もかなり細かくモデルチェンジしていますが、大きく分けると前期と後期に分かれます。

くわしくはWikipediaをどうぞ 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%B3




久しぶりにポルシェ車に乗りました。987ケイマンを手放してから2か月ほどしかたっていませんが、かなり昔のことのように感じます。今回の記事は981のPDKとの比較もさることながら、メインはGT-Rとの比較を念頭に感想を書いてみます。


今回の試乗車は981ケイマンベースグレード、2.7L直噴、LHD、6MTでした。これが右ハンドルMTなら超レアですが、左のMTなら少しはあるかもしれませんが、試乗車としてはMTはかなりまれでしょう。なおタイヤはイーグルF1で、18インチ仕様でした。

MTの証拠です。3ペダルです。
cayman_pedal.JPG



まず外見の感想ですが、GT-Rのゴツいデザインと比較すると、ケイマンは実際のサイズ以上にコンパクトに感じます。このあたりは以前試乗した981のPDKとMTで違うわけではないので、まあ予想通りです。

後ろからです。
cayman_2.JPG


なお、横のエアインテークは黒くなったようです。987はボディと同色でしたが、自分は気に入らなかったので黒く塗ってもらいました。同じような意見が多かったのかもしれません。まあ、この方が似合っていると思います。(その時の記事はこちら http://jl4ouf.blog.so-net.ne.jp/2010-08-29

斜め前からです(再掲)
cayman_1.JPG



乗り心地ですが、かなり良好です。相変わらずフラットであり、ごつごつする感じはかなり少ないですが、GT-Rと比べて姿勢変化はそれなりにあります。ただし、これはケイマンが普通であり、GT-Rが異常に姿勢変化を起こさない車ということでしょう。




ちなみに私は左ハンドル(LHD)のマニュアル(MT)車を初めて運転しました。しかも、マニュアル車に乗らなくなってから2か月しかたっていないにも関わらず、もう感覚を忘れていました。
そういうわけで、試乗会の会場から出た途端にエンストしました。情けない限りです。ちなみに、ケイマンのフライホイールはダブルマスフライホイールになっており(911 GT3RSは違うらしい)その共振を避けるため?に、600rpm位までエンジン回転が下がると自動的にエンジンがカットされます。しかも、987の場合はエンストした後はキーを一度“オフ”とし、再度“スタート”位置まで回す必要がありました。
しかし981ではなんと“自動的に”エンジンが再始動されます。ですので、981ではエンストが怖くありません。ほとんどわからないくらいの素早さで再始動されますので、もしかしたら周りにも気づかれないかも?
ケイマンはスタートが難しい車では決してありませんが、前述のとおり低回転では粘ることなくスパンとエンジンが止まるため、ときどきスタート時にエンストを起こしていました。
対照的に981はMT初心者でもエンストは怖くありません。慣れてなくてもたぶん大丈夫です。ぜひMTを買いましょう。(いまMT車を持っていない自分が言っても説得力はないかもしれませんが。)

なお、標準装備のアイドリングストップに関しても違和感はありません。クラッチを踏むタイムラグがあるMTでは、アイドリングストップはもともと問題が出にくいわけです。そのこともあり、アイドリングストップの存在を意識することはほとんどない感じでした。


981の直噴2.7L(275ps)のエンジンのパワー感は、987前期2.7L(ポート噴射 245ps)と比べて、違いはあまり感じませんでした。並べて加速競争をすれば違いは判るのでしょうが、987前期の獰猛なサウンドの前には実際の少々のパワーの差など感じません。
やはりスポーツカーにとって「音」は大切です。ちなみに、987の最初期型は“ギュワー”という機械音もそれなりにしていましたが、これは987のモデルが熟成されるとともにだんだん改善されました。そして981ではそのようなメカニカルノイズ(的な音)はかなり減り、排気音がメインの澄んだ音になってきました。試乗した981のMTは例によって高回転の音は素晴らしいです。

音はGT-Rと比較して、低速では明らかにケイマンのほうが静かです。しかし、高速域になるとGT-Rのほうが静かです。GT-Rは非常に特殊なクルマであり、高速であればあるほど、静かかつ快適になるというとんでもない車なので、おそらく比較対象が間違っているでしょう。(GT-Rとケイマンは比較する意味がないほど違うジャンルの車です)
これもわかっていたことですが、「官能性」ではGT-Rはケイマンの敵ではありません。高回転までエンジンを回した時の素晴らしい音はGT-Rなど足元にも及びません。やはりサウンドや操作系に対する反応など、ケイマンはやはりいいスポーツカーです。987は最後まで飽きませんでしたが、981 MTもとても良い車であることは間違いありません。


ハンドリングについては、GT-Rとケイマンはまったく違い、これも比較になりません。繰り返しで申し訳ありませんが、GT-Rはレーシングカーで、ケイマンはスポーツカーという一言にすべてが集約される感じです。つまり、ケイマンは「乗って楽しむ車」で、GT-Rは「ストレスなく速く走る車」です。
GT-Rは姿勢変化のない車(2014モデルはそれでもまだある方)ですが、ケイマンは荷重に応じて姿勢が変化します。そしてハンドリングもそれに応じて変わるのも987と同じですね。


ブレーキも相変わらずです。低重心のミッドシップであり、沈み込むように止まります。フィーリングも優れており、やはりポルシェのブレーキは良いです。
しかし、ブレーキにかんしてはGT-Rのほうがさらに優れています。GT-Rのブレーキは効きとフィーリングにおいてこれまでで最高のブレーキです。フロントエンジンとリヤミッドシップを比較するのもどうかと思いますが、GT-Rのブレーキは最高なのです。


なお、987から受け継がれる小回り性能は健在です。ケイマンの最小回転半径は5.2mだそうですが、R35GT-Rは5.7mです。たった0.5mの差と思うかもしれませんが、まったく次元の違う小回り性能です。
GT-Rはもともと小回りできない上に、力いっぱいハンドルを切ると、タイトコーナーブレーキ現象でガツガツひっかかる感じがして、ますます無理している感があります。
GT-Rと比べて、ケイマンは実際のサイズの差以上に小さく感じますね。狭い道にも入っていける気がします。GT-Rは見切りの悪さと実際のサイズの大きさと小回りができないことなどが複合して、狭いところに入りたくない車です。まあ、そんなところを走るように設計されていないので、当たり前ではありますね。




ここからはインテリアなどです。

まず、981に乗って感じたのが、987と比べて狭くなったと感じたことです。ホイールベースも伸びているはずなので、実際のジオメトリーが小さくなっているわけではないと思います。しかし、インパネの高さが高くなり、傾斜角やデザインの違いで圧迫感があるように感じます。筆者の身長は166㎝しかないので、日本人としても小さい方ですが、それでも狭く感じました。まあおそらくわざとであり、タイト感を演出しているのでしょう。

また、背後の崖?(エンジンが格納されているところ)も高くなっているので、後側でも同じようなことを感じます。
全体的に、981は987より視界が悪くなっています。もともとミッドシップなので視界は良くありませんでしたが、さらに悪化しているように感じました。まあこれは仕方ないところでしょう。ミッドシップの中ではマシな方なのかもしれません。


シートの位置、シフトレバーの位置などについては、いつもながら完璧です。調整機能もきちんとついていますし、きちんとしたドライビングポジションが取れます。これについてはスポーツカーメーカーたるポルシェがこだわっているところでしょう。このあたりについては何も言うことはありません。
GT-Rも悪くありませんが、このあたりのしっくり感は、ポルシェのほうが上です。このあたりは歴史の差なのでしょう。


LHD,MTのシフトレバーですが、すこし位置が高くなったような気がします。昔のカレラGTを彷彿とさせる感じですね。もちろんこれは991や981ボクスターとも共通です。MTのシフトフィーリングは987と同じような感じです。おそらくトランスミッション(6MT)の変更はないと思うので、当たり前かもしれません。991MTの無理やりの7MTと比べると、素直なMTなのかもしれません。


シフトレバーです。シフトパターンは987と同じです。
cayman_MT.JPG


なお、パナメーラや991とも共通するボタンがずらずら並ぶパネルは健在です。ボタンが多すぎる気はしますが、基本的にはボタンには単独機能のみが割り当てられており、数は多いもののまあまあわかりやすいです。
なお、987や997はインパネが逆に傾いていましたが、981および991世代では傾きが自然になりました。非常にわかりやすいとまでは言いませんが、まあまあ使いやすいほうではないでしょうか。最低レベルは問題なくクリアしている感じです。
ちなみに、インパネのボタン配置についてはGT-Rは日本車のくせに最低です。ボタンの位置は悪くないはずなのに、きわめてわかりにくく直感的な操作がしにくいです。あれは何とかしてほしい。なかなか慣れません。

エアコンの操作パネルなどです。
cayman_inpane.JPG


キーの差込口はいわゆる鍵穴ではなく、スマートキー自体を差し込むようになっています。しかも、差し込んだスマートキーを「回す」という不思議な手順になっています。なんとなく二度手間な感じはありますが、「入れて回す」というのが譲れなかったのでしょうね。

また以前からは考えられませんが、ライトにオートモードがつきました。オプションなのか標準装備なのかはわかりませんが、暗いところでは自動でヘッドライトがつきます。個人的には必要とは思いませんが、日本車では当たり前なのかもしれません。この機能は当然?GT-Rにもついています。

キーが刺さっています。
cayman_light_sth.JPG


パーキングブレーキはこれまでのレバーから、スイッチ式になりました。これは地味ですが良い改良点だと思います。通常走行中にサイドブレーキを引くことなどはありませんし、987のサイドブレーキはあまり効かないのです。以前サイドブレーキの引きが甘くて駐車中に前の車に突っ込んだことがありましたが、このMT特有の問題点が解消されたということになると思います。
「スイッチ式などスポーツカーには似合わない」という意見もあるでしょうが、ポルシェはスパルタンなスポーツカー路線からはずっと以前に決別しています。まあ順当かもしれません。「トヨタ化(クラウン化)」あるいは悪い意味で「メルセデス化」といえるかもしれません。

パーキングブレーキのスイッチです。
cayman_PB.JPG


メーターもあまり変わりません。ただし、横のサブディスプレイはきれいになりました。987前期のようなカタカナ表示ではなくなりました。
cayman_meter.JPG


メーターには、シフトポジションインジケーターがあります。そんなものは必要ないようにも思いますが、あれば便利なのかもしれません。

こんな感じです。
cayman_MFD.JPG

なお、試乗車にはスポーツクロノパッケージが装着されており、モードを「sports」や「sports plus」に切り替えてみましたが、やはりMTではあまり違いが判りませんでした。MTではまああってもよい程度のものに思えます。これは987と同じ結論です。
しかし、シフトダウン時の自動回転合わせ装置(シンクロレブコントロール?)は素晴らしい。適当にシフトダウンしてもきちっと回転を合わせてくれます。絶妙です。以前からわかっていたことではありますが、もう完全にヒールアンドトゥは不要になりました。無駄にシフトダウンを繰り返してみたりしましたが、これは楽しい。この機能のためだけにスポーツクロノパッケージを選ぶのもありかもしれませんが、37万円のオプション価格の価値はあるのか? 微妙かもしれません。


リヤトランクとオイルおよび冷却水の注入口です。986ではとってつけたような感じでしたが、987で一体化し、981でさらに自然になりました。順当に進化しているようです。

フタを外しています。
cayman_rear.JPG


なお、ネットを装着するD環は変わらずあります。
cayman_rear2.JPG


フロントトランクはあまり変わった感じはありません。
cayman_frid.JPG





ここまでいろいろ書いてきましたが、一番感じたことはケイマンとGT-Rはまったく比較する意味がないくらい違う車ということです。
今回の記事を読むとGT-Rよりケイマンの方が良い車ではないかと思われた方もおられたでしょうが、それは一面の真実です。
しかし、絶対性能ではGT-Rはケイマンとは全く次元の違うところにいます。比較する意味がないほど性能は上です。高速道路での異次元の安定性などは不気味なくらいです。

久しぶりにケイマンに乗って思いましたが、やはりケイマンは名車です。987の前期型は感情をかきたてられる良いサウンドでしたが、981も同じような感じの澄んだ音がします。ハンドリングも相変わらず素晴らしいですし、スポーツカーとしての完成度はやはりかなり高いです。
しかし、GT-Rと違って、変な操作をしたら変な挙動が過不足なく返ってくるので、ドライバーの腕が試される感じであることはかわりませんでした。



ちなみに、この試乗会にはパナメーラのハイブリッドもありましたが、キャリパーの色には度肝を抜かれました。なんと蛍光の黄緑?です。これは浮いているような気がしますが、まあ純ガソリン車との差別化にはなっているのかもしれません。

こんな感じです。
panamera_hv.JPGuᐅ
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