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「軽トラの本」 書評 [クルマ関係]

今回紹介する「軽トラの本」は、確かに軽トラ(軽自動車のトラック)についていろいろ書いてある本ですが、いわゆる値引きなどの買い方のことはまったく載っていません。各メーカーの設計の考え方や、実際に使用するうえでのエピソード、あるいは日本文化への考察などがかなり深く掲載されています。
そのため、どの軽トラを買うかという時に参考になるかどうかは疑問ですが、軽トラという「道具」について興味がある人にとっては、非常に面白い本です。

ただし、例によって専門用語は乱れ飛んでいます。キャビン、ホイールベース、はてはセミトレとかド・ディオンなどが説明なく出てきます。要するにモーターファンイラストレイテッドをみて楽しい人には向いています。しかし、あの雑誌をみて意味が分からない人は買うべきではありません。

なお、個人的にはこの本は最高の本でした。買ってよかったです。

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軽トラの本 [ 沢村慎太郎 ]
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以前からモーターファンイラストレイテッドを愛読しています。テクノロジーをメインに取り上げているマニア向け自動車雑誌です。この「軽トラの本」は沢村慎太朗氏が書いた本ですが、前述のモーターファンの連載をまとめたものだそうです。

軽トラというものは、日本独自の自動車規格である「軽自動車規格」に収まるように作られた「トラック」です。都会に住んでいるとわからないと思いますが、田舎の道は軽自動車を前提にできているというところがあり、田んぼのあぜ道などは、要するに「軽トラ」が通る道です。
帯より抜粋すると「軽トラは日本の風土と産業構造が産み育てた、究極のフォーミュラマシンである」とのことですが、全くその通りでしょう。

日本人は、制限の中で良いものを作るのが得意ですが、軽トラはまさにそれに当てはまるでしょう。また商用車ですので不要な装飾が一切なく、まさに兵器のようなすがすがしさがあるように思います。

代表的な日本車を4台ほど選べと言われたら、1台目はやはり軽トラ(ハイゼットかキャリーかアクティかはどれでもよいです)でしょう。2台目はセレナにします。(これもノアでもヴォクシーでもステップワゴンでもいいですが)、3台目はGT-Rですね。4台目はプリウスでしょうか。どこからどう見ても、軽トラは代表的な日本車だと自分は思います。

内容については読んでいただくほうが良いと思いますので詳しくは説明しません。

軽トラ総論から始まり、キャリイ、ハイゼット、アクティと現行のすべての軽トラの各論が続きます。読むとわかりますが、非常に制限が多いなかで作られた同一の目的を持つ車両であるにもかかわらず、意外とパッケージングが違うんですね。非常に興味深いところです。これは前述のセレナ、ノア、ステップワゴンの類似性を考えると驚きです。また、旅客機の形やF1の形が(素人には)区別がつかないこととも対照的です。

その次は名車である先代サンバーの解説があります。ここがある意味一番面白いかも。その後はタイヤなどの話があり、最後に赤帽サンバーの物語があります。



まあ、軽トラが好きというか、メカニズムが好きな人にはお勧めできる本です。よければ読んでみてください。
マーケットリサーチのしすぎで、何がしたいか分からなくなった車が世の中にはあふれてますが、軽トラはそれとは対極にある感じです。この意味で、軽トラにはR35のGT-Rと同じような「兵器感」があります。

なお、沢村氏の文体は独特ですが、なんだか物語調です。この人の文章は、何かを直接解説するのにはあまり向いていないかもしれませんが、背景にある歴史などを含めたインタビューに関しては非常に面白いと感じます。






同じ著者による「スーパーカー誕生」です。長いですが、熱い本です。もし興味があればこちらもどうぞ。

以前当ブログでも紹介しました。
http://jl4ouf.blog.so-net.ne.jp/2009-01-13

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