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「モーターファンイラストレイテッドVol16 Electric Drive!」紹介 [クルマ関係]

毎月発行されるモーターファンイラストレイテッドの最新号の紹介をしてみます。
今回は「Electoric Drive」と銘打って電気を動力に使用した自動車のことなどを紹介しています。

このシリーズはエンジンとか駆動系のシリーズはすべて大傑作ですが、この号のデキはまあまあですね。
たぶん編集している人が電気に弱いのでしょう。このレベルの本になると本当の専門家以外は書けない思いますが、多分そういう人ではないのではないでしょうか。


最初のプジョー406のサスペンションの解説は秀逸です。欧州車らしくコストのかかった凝った足回りに見えます。一度乗ってみたいですね。(今度試乗に行きましょう。)

後半はパワーエレクトロニクスの話ですが、メインは電池(もちろん二次電池)の話です。要するにリチウムイオン電池の話です。後半の前半分は各種ハイブリッドのシステムの解説ですが、細かい構造もさることながら各メーカーの考え方の差が見えて面白いです。
電池に関しては電気駆動の心臓部でありますが、特許と企業秘密の塊だからなのかもしれませんがあっと驚くような解説はなく、たいした内容ではありません。表面的な解説に終始しています。

プリウスベースのプラグインハイブリッドの話はなかなか興味深いですね。1日あたりの走行距離は30kmで70%のユーザーをカバーできるとのことですが、これは自分たちの使用環境を考えても納得できます。
「電気だけで何キロ走れるようにするかが難しい」という題名になっていますが、まさにその通りでしょう。電池はSOC(充電容量、要するにどこまでカラや満タンにするか)をどこまで使うかによってサイクル寿命が変わってきますが、そのあたりの見極めもまだできていないとのこと。
途中の文章が傑作です。プラグインハイブリッドでEV領域だけで用が足りる人は「エンジンなどいらない」と感じ、高速巡航ばかりする人は「バッテリーなどいらない」と感じるそうです。つまり中途半端。
(後者のような使い方をする人はノンハイブリッドのディーゼルを買うべきでしょうね。しかし今日本には乗用車用ディーゼルはない。)

074ページからの「Keynote」はすばらしい話です。ここはテクノロジーとは直接の関係がないことばかり書いてありますが、これからの日本のエネルギーを憂える内容です。
今われわれの載っている内燃機関自動車は「サハラ砂漠を横断できるレベルの航続距離と空調性能をもっている」そうです。たしかにそうでしょう。そしてそれを「毎日20km程度の走行」に使用しているとのことです。これまたその通り。
基本的にこれから自動車は電気駆動に向かうのは誰もが認める未来ですが、発電に関して日本は無策であると心配しています。たしかにそうでしょう。

この本はテクノロジーの本ですが、エネルギー問題についても多面的な深い考察がしてあります。感情的な議論はありません。そういう意味でも非常に良い本です。

最後のF1用タイヤはすごいです。ただすごいのは確かですが日常生活から乖離しすぎていて興味深いだけですね。


本筋からはずれますが、「日本でプリウスを買うこと」は環境にやさしいのでしょうか。あのシステムはシリーズでもパラレルでもない非常に複雑な世界的には珍しいハイブリッドシステムです。
あのシステム(THS-II)は平均速度が遅い状況で燃費が悪くなりにくいため、ノンハイブリッドのガソリン車よりも燃費がよいとされています。しかし、大量のバッテリーを積み製造時の環境負荷は結構大きいと思います。
タクシーのような使用環境には最適でしょうが、年間1万キロ以下しか走らない状況で製造時を含めてトータルで環境に優しいといえるのでしょうか。非常に疑問だと思います。
高速道路を走って「意外と燃費が良くない」とかいうコメントを聞いたことがありますが、そんなことは当たり前です。設計思想とメカニズムを知っていれば当然のことですが、今日本では「ハイブリッドは環境に優しい」というイメージだけが先走っているようにしか思えません。
「それではなぜハイブリッドが環境に優しいのか?」と突っ込まれた時に答えられますか?そのあたりのことをもっと正確に宣伝するべきだと、プリウスを見るたびに思います。現在はプリウスを買うことは「ファッション」になっていますね。それはそれで個人の趣味の問題ですので勝手ではあります。

一応書いておきますが、プリウスはトヨタの大傑作です。あのハイブリッドシステムの発想はすごく、しかも採算割れを覚悟で本当に発売してしまったトヨタを尊敬します。しかしその後のマーケティングは嫌いです。



ちなみに広告が入っており、モーターファンイラストレイテッドで「Nissan GT-R」の特集号を3/1に発売する予定だそうです。これは期待大です。いままでの実績からして相当面白い内容になるでしょう。楽しみです。
さらに来月号はランエボXの解説らしい。インプレッサはメカ的には面白くなさそうですが、ランエボはテクノロジー好きにはたまらない構造ですので期待です。
なお念のためですが、テクノロジー的に面白いことと車のデキは全く関係ありませんので。


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