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フェラーリ458スパイダー感想 [クルマ関係]

これまでもいろいろな車に乗ってみて、ブログに感想を書き連ねています。今回はフェラーリ458スパイダーの試乗のお誘いを受けたので、乗ってみました。

人生初のフェラーリです。価格にビビリますが、ぶつけなければ問題はないわけです。以前と比べると乗りやすくなっているとのことでしたが、それでもちょっと緊張しながら乗りました。

乗ってみると、あまりの乗りやすさに衝撃を受けました。全く違和感がありません。操作系は普通の車とはかなり違いますが、そんな些末なことではなく、初めて乗るにもかかわらずまるで自分の車のように感じる不思議な感覚がありました。これを感じたのは、試乗での987ケイマン以来です。
ただ、フェラーリなのに ”こんなに落ち着く” のは逆に良いのか?と考えてしまうくらいでした。
まあ458スパイダーは自分ではとても買えませんが、走る機械という意味において、いいクルマであることは間違いありません。

458は後ろからのほうがキュートなように思います。背景の廃屋と妙にマッチしています。
この写真を見て思いましたが、バックランプはちょっとカニっぽい感じもしますね。

458_1.JPG



まずは高速のサービスエリアで合流しました。しかし当地は田舎ですので、フェラーリは目立っていました。そしてGT-R(R35)も結構目立つのです。2台並べたらもっと目立つのか? よくわかりませんが、異彩を放っているのは確かでした。



それではいつも通りのインプレをしていきます。まずはいろいろチェックです。

まずは458スパイダーの外見ですが、やはりフェラーリは流麗で美しいです。流れるような感じです。
個人的には、フェラーリはF40とF355が好きですが、あんなレーシングカー風な感じとは違い、458にはちょっとサイボーグ的な部分もあります。いずれにしても、R35には微塵もない「流麗な感じ」あるいは「色気」があります。やっぱりR35は男性(とくにムキムキマン)で、フェラーリは女っぽい感じです。上記を組み合わせると、458スパイダーは「女性型サイボーグ」でしょうか。ただ、最近のフェラーリにはすこしお水系という感じもします。458もそういう感じがあります。(まあこのあたりは個人の感覚によるでしょう。)

458スパイダー、前から。ちょっとマスカラ的感じがします。
458_frontview.JPG



ここからはオープンの写真です。
ちなみに458スパイダーはオープンカーですが、幌ではないのでパッと見た目はクーペと違いが良くわかりません。ルーフは2分割されて綺麗に格納されます。グイーンと器用な感じでオープンに変身します。

その1
458_roof1.JPG

その2
458_roof2.JPG

その3
458_roof3.JPG




458のステアリングホイールです。
スイッチがいろいろついていますが、F1に似せて作ってあるのかもしれません。ステアリングホイールの上部にはシフトランプまで内蔵されています。
走る際に必要な操作は、ほとんどステアリングホイールから手を離さず操作できる感じです。まるでF15などのHOTAS(Hands On Throttle And Stick)設計のようです。フェラーリの商売の基本である「F1疑似体験」が、こんなところにも込められているようです。

458_steer.JPG


ステアリングのアップです。とくに普通の車と違うのが、ウインカーです。レバーではなく、左右に一つずつボタンがあり、右のボタンを押せば右ウインカー、左は左ボタンという風になっています。BMWのバイクと似ているかも。
このシステムは意外と違和感はありませんでした。すぐ慣れましたが、458は基本的に片手運転には向いていません。両手を常に使うような感じです。
あとはダンパーモードの切り替えとか、ESC(フェラーリではどのように呼んでしているのか知りませんが、要するにスタビリティシステム)の切り替えなどがついています。

458_steer_details.JPG


なお、一般的にはシフトレバー?のあたりです。ちなみに458にシフトレバーはありません。リバースもボタンですし、前進ギアもボタンです。ここも前述のHOTAS思想の表れです。
そのうちフェラーリにもHUDがつくでしょう。そしてステアリングにすべての走る機能が集約され、ますます戦闘機化するでしょう。

458_center.JPG


さらに、グラスコクピットになる時代も目前かもしれません。クラウンハイブリッドやレクサスLFAは部分的にそうなっており、フルグラスコクピットが登場する時代も近いかも。
なお、フェラーリは優雅に走るような思想かと思っていましたが、部分的にはGT-Rチックなところもあります。メーターはそのような感じであり、オタク心をくすぐる水温などのデータ表示もあります。
ただ、GT-Rと違うのは、フェラーリのデザインはメーターにいたるまでいちいちおしゃれです。GT-Rとオシャレ感というのはまったく180度反対側の概念ですが、フェラーリはさすがイタリアン高級車です。

458_meter.JPG



次はシートを含む内装です。458のシートは見た目がかなりいいです。フェラーリは外観もさることながら、内装が素晴らしいです。以前ディーラーでF430を見せてもらいましたが、その時も内装はとても良いと感じましたが、今回も同じでした。
ちなみにGT-R、ポルシェケイマン、458スパイダーの各車の内装を評価すると、GT-R:戦車のコックピット、ケイマン:車の操縦席、458スパイダー:高級家具売り場 という感じです。458の内装は高級感があふれています。自分は家具のことなど一切わかりませんし、革の知識もありませんが、458の内装が良いものであるということは伝わってきます。

458_seat.JPG



458スパイダーの助手席前です。ここだけでも上質な革というのが実感できます。

458_sideseat.JPG





後ろからちょっと見えるエンジンです。クーペはエンジンがばっちり見えるらしいですが、スパイダーはあまり見えないようです。
458_engine.jpg

エンジンは、5LのシングルプレーンV8のNAだそうです。V8のシングルプレーンは市販車ではフェラーリくらいだそうであり、振動特性が良いものの、排気順序がややこしいらしい。
パワーは570psだそうですが、その位はある感じがします。ただもうここまで来ると、パワーの絶対値などはどうでもよい世界です。GT-Rが550psで458が570psということですが、その差は誤差の範囲内でしょう。ということで458がパワフルであることは当たり前であり、問題はパワーよりもそのフィーリングおよびサウンドです。
この点に関しても458は良いです。NAらしくダイレクトに反応します。GT-Rは低速ではターボラグがわずかにありますが、458はどの回転域でも切れ味良く反応します。エンジンのレスポンスはハヤブサ以上かもしれません。吹け上がりおよび回転落ちの感触もかなり良いです。また細かい操作にもきちんと反応します。

パワーに関しては、前述のとおり458はGT-Rと数値上は同じくらいですが、感触が全く異なります。GT-Rのほうがパワー感はありますが、タービンのインターセプトポイントまでトルクがあまり出ないことによる錯覚かもしれません。GT-Rはターボの有効領域に回転を保つと素晴らしいレスポンスとトルクを出しますが、それ以下ではまあまあです。
加速中の458は「エンジン付きの乗り物」という感じですが、GT-Rは「電気仕掛けで加速する」というような感じの違いです。普通の車の感触に近いのは、もちろん458のほうです。もちろんケイマンも458寄りです。

フェラーリで最も大切なサウンドは、やはり素晴らしいです。マフラーにバルブがついており、極端に変わります。
“静かモード”ではごく普通の音であり、うるさい感じはありません。しかし、“爆音モード”に切り替わると全然違う音になります。純正であることが信じられないくらいの音であり、「バシュン」という結構大きな音とともにバルブが切り替わり、突然爆音が鳴り響きます。よくこれでお上が許可したと思う(F430でも同じ感想があるらしい)ほどの音です。GT-Rも結構うるさいのですが、あれは重低音の地鳴りのような音ですが、458は典型的高回転型NAエンジンの音です。
走行モードを「Race」(英語表記なので、Corsaではない)にすると、かなり低回転から爆音モードになります。スパイダーなので、オープンにしてトンネル内で全開にするのが正しい楽しみ方でしょう。今回も一瞬だけトンネルに入りましたが、すごい音でした。
ただ、458の音は、F355後期型のすすり泣くような甲高い排気音には届いていません。あれは死ぬほど良い音ですが、あそこまでの甲高さはないです。
しかし、今後はスポーツカーもターボになっていくのでしょうから、フェラーリの快音もそろそろ聞き納めなのでしょうか。寂しい限りです。ちなみにカリフォルニアの音は酷評されているらしいです。(伝聞) 
なお、GT-Rの場合は排気音はどうでもよいです。音など性能に関係ありません。(という感じの設計思想でしょう)



後ろです。「この管から炎を噴射して加速する」と言われても信じてしまいそうです。ちなみにこのレイアウトはF40に似ています。ここはかなりかっこいいです。また、市販車レベルで意味があるのかどうか知りませんが、ディフーザーもついています。これもF1ファンタジーを演出するには大切な部分でしょう。

458_rear.JPG



458のトランスミッションは7速DCTです。GT-RのDCTもよいですが、それよりも458のDCTの方が切れ味が良い感じがしました。単にエンジンのレスポンスの差かもしれませんが、パドルでの変速指示への追従が良い感じがします。GT-Rは加速中のDCTは素晴らしいのですが、それ以外が少し鈍いのです。
ちなみにGT-Rと同じですが、普通に走っているとあっという間にシフトアップしていきます。ほとんど回っていないのにシフトしていきます。まあ、これは現在のハイパフォーマンスカーでは当たり前かもしれません。つまり、日常的に必要とされるレベルをはるかに超えた動力性能があるということです。
ちなみに、両方のパドルを同時に引くと、ニュートラルになります。いつでもどこでも空吹かしができます。これは結構重要かもしれません。(GT-Rにも欲しい機能ですが、そういう速く走るのに意味のない機能はないのです、GT-Rには。遊び心がないといえるかもしれません。)

なおシフトダウンでは自動ブリッピングが入りますが、その際の音がすさまじいです。爆音が鳴り響きます。加速中より激しい音がするような気がします。演出ではあるのでしょうが、ワクワクする音ですね。
ちなみにGT-Rには「演出」はほとんどありません。GT-Rの設計思想は「くそマジメ」という感じですが、こういうところが違いますね。ちなみにケイマンも結構良い音です。あれも演出でしょうが、かなり気に入っていました。


458スパイダーのブレーキは優秀でした。いわゆるカーボンセラミックローターであり、よくないはずはありませんが、やはりよかったです。ただ、これは街乗りでいるのか?よくわかりません。これも458に色濃く流れる、F1ファンタジーの一部なのかもしれません。
もちろん効きやフィーリングともに優秀なブレーキでした。ただ、GT-Rも同じくらい良いブレーキであり、超高負荷でなければ 変わらないかも。

おおきなローターです。しかもホイールがスケスケでかなり目立ちます。これもわざとか?
458_f_brake.JPG

そしてカーボンセラミックローターのアップです。やはりカーボンはかっこいいです。
458_f_brake_up.JPG




458の乗り心地は非常に良好です。タイヤはミシュランのパイロットスーパースポーツでしたが、GT-Rよりもケイマンよりも良いと感じました。スポーツカーの基準でいうと相当良い方に入ると思います。
何よりすごいのが、458はわだちでのワンダリングがほとんどありません。GT-Rは乗り心地自体はそう悪くないのですが、ワンダリングには閉口します。一般道ではステアリングを常に修正する必要があり、長距離運転では疲れます。今回の458で最もうらやましかった点はここです。ただし、GT-Rのタイヤはあの強大なグリップとの引き換えかと考えると、仕方ないという気もします。





458のサイズは以下です。
全長4527mm*全幅1937mm*全高1211mmとなっています。
なおGT-Rは以下です。
全長4670mm*全幅1895mm*全高1370mmです。

特に問題となる全幅は 1937mmと1895mmで、458の方が40mmも広いことになります。
驚くべきことに、GT-Rの方がはるかに大きく感じます。458は幅が広いのですが、大きさを感じません。これは不思議なほどです。
これはケイマンにも似ています。ケイマンは実際にも小さいうえに、さらに小さく感じる車でした。
そもそも458は思い通りに動くこともあり、車自体が小さく感じます。狭いところでもあまりストレスを感じないような印象でしたが、GT-Rは逆です。GT-Rでは本当に狭いところには行きたくないです。

車高はどちらも低いですが、458はフロントの車高を上げることができるようです。便利そうです。ちなみにGT-Rはそのような重くなる装備はついていません。ある意味潔い感じはあります。まあ)、GT-Rでもたまにアゴ先をすりますが、擦ったところで大したことはありません。保護テープみたいなものがボロボロになるだけでしょう。


乗り心地とかサイズとかいろいろ書いてきましたが、458の日常性は相当高いと思いました。GT-Rは4ドアのトランク付きですが、458の方が普段使いのストレスは少ないかもしれません。普通に運転できます。免許さえあれば誰でも乗れると思います。普通に乗る分には、気難しいところは一切ないと感じました。(飛ばす時は別です)
GT-Rは、普段使うのにはややストレスがあるので、そのあたりの差は感じました。GT-Rも普段使いでもそれなりに使えますが、「4席のサルーン?」という言葉から想像されるような日常性が、実はないというのとえらく違います。


458のハンドリングは良いです。高価な車なので限界まで攻めていませんが、限界自体は高そうでした。ミッドシップらしく頭の入りは良かったです。
360やF430なども、車が勝手に曲がるというような感じだったらしいですが、458にもそのような感じが少しあるようにおもいました。
コーナーの途中でギャップが来ても、意外と姿勢は乱されません。GT-Rは横Gがかかっているときに、ギャップが来るとそれなりに反応します。基本的には怖くはないのですが、姿勢が変化しないまま外側に少しスライドします。458はそもそもギャップが来てもいなす感じで通過します。ただ、どちらが良いというわけではないです。
ちなみに純粋なタイヤのグリップはGT-Rの方が上でしょう。そもそも、市販状態でGT-Rよりもハイグリップなタイヤをつけている車というのはそうそうないと思います。Sタイヤなみのグリップです。





最後に2台並べて撮影してみました。

R35 GT-R(2014)と458スパイダーです。
458_R35side.JPG

この2台は性能はトントンではないかとおもいますが、比較に意味はありません。全く違う世界にいる車です。
まあ言ってみれば、GT-Rが男で、458が女でしょうか。あまり分かり合えないという意味でも、それと同じかもしれません。

ただしGT-Rでは、特に高速セクションでは、速さでは458に負けないと思います。1000万円のGT-Rで、3000万円のクルマをカモれるというのがGT-Rの存在意義かもしれませんが、そのような汗臭い比較をすること自体が無意味でしょうね。
ある意味、今回の試乗で実感したのは、GT-Rの高性能さでした。GT-Rに遊び心はありませんが、すさまじい車です。エンジニアの執念みたいなものが車全体からにじみ出ている感じを改めて実感しました。ちなみに458からにじみ出ているのは、「優雅さ」でしょうか。

ちなみに撮影していると、マクラーレンMP4-12Cが来ました。GT-Rと458とMP4が一緒になるのも珍しいでしょう。(知らない人の車なので写真はありません)



最後にGT-Rから458の後ろ姿を撮影してみました。というよりもむしろ、GT-Rのメーターパネルのフチのステッチの映り込みが気になります。ピュアエディションではまだよいですが、この糸が白い場合(プレミアムエディションなど)はかなり気になるらしい。乗っている人は実感できる不満点です。

458_R35_ステッチ.JPG




ということで結論です。458スパイダーはとても良い車でした。乗った瞬間から違和感のまったくない本当に良い車でした。
しかしこれはボクスターも同じなので、値段の差を考えると個人的にはボクスターMTの中古で十分です。ちょっと貧乏くさい結論ですが、運転の楽しさではボクスターと458は同じくらい楽しいと感じました。

そして、GT-Rと458のどちらが良いクルマなどという比較も無意味です。ただ執念をかんじるのはGT-Rであり、自分はその執念に対してお金を払いました。
GT-Rとフェラーリを両方持っている人もいるらしいですが、その気持ちもわかるような気がしました。

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