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「ロケットを理解するための10のポイント」 書評 [その他]

今回も書評にします。
自分は今はまったくロケットと関係ない仕事をしていますが、子供のころの夢は「ロケットを作ること」でした。
ロケットに興味があるというと、宇宙飛行士になりたいの?とか聞かれましたが、そんなものには興味はありません。あくまで極限まで性能を追求するロケットいう機械に魅力を感じただけです。

ロケットの勉強も興味深いのですが、最近購入した本がなかなか良かったので紹介してみます。





この本は、ロケットエンジンの技術者が書いた本です。技術書ですが、LE-7およびLE-5の開発史にもなっており、エンジニアの実情などについても深い洞察があるように思います。この二つのバランスが絶妙で、読みものとしても入門書(教科書?)としても面白いです。

ロケットの打ち上げで「ずっと上に上がると思っていたら、だんだん水平線のかなたに下がっていきびっくりした」などというのはさもありなんです。

ロケットは、その辺にある機械とは違い真の極限設計がなされます。とてつもない比出力のロケットエンジンの設計から、極限までの軽量化を追求し構造強度の安全率は1.1とか1.2とかいう信じられない設計になっています。ちなみに、航空機でさえも強度の安全率は通常1.5程度です。

しかも使い捨て(ファルコンは例外)であり、超高価な打ち上げ花火みたいなものです。

ロケットの本質は「ペイロードの加速」であり、どれだけ加速できるかが性能そのものです。あとは信頼性とコストでしょうが、ひとまずひたすら「速度、速度」です。このあたりの感覚が紙面から痛いほど伝わってきます。(まあ、物理学的には当たり前ですが。)

なぜロケットは垂直に打ち上げられるのかは、単に斜めが強度的に耐えられないのがあるでしょう。あとは、速度を稼ぐ前に高度を稼いで空気が薄いところに早く上がるためのようです。どっち向きに加速しても速度さえ出ればよいのでしょうが、当然ながら地表近くでの加速は現実的にできません。

いろいろ勉強になりました。少しロケットが理解できた気がします。



最近スペースXを見ていて思いますが、イーロン・マスクは本気で火星に行く気なのだと実感します。最初は本気とは思っていませんでしたが、最近みていると自分が生きている間に実現されるような気がします。
それが本当に可能かどうかはわかりませんが、そのような夢を回りに見させることができる真の天才ですね。そして、その夢に共感したひとはスペースXで頑張っているのだろうと思います。

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