NV-U2感想（その後）

以前ソニーのPND　NV-U2を購入したことを書きましたが、ずっと使ってきて感じたことを再度書いてみます。
なお、地図の出来などについては言及しません。測位ユニットとしての出来について重点を置いて書いてみます。（メカマニアですので視点が偏っていることについてはご了承ください）

楽天ではこんな感じで売っています。


PNDでは初のハイブリッド側位ですが、正直言って優位性は微妙です。
以前の記事にも書きましたが、PNDですので固定がきちんとできません。もちろん理論的にはがっちり固定することはできますが、このナビはマウントの構造上ガチガチの固定にはできません。標準の粘着吸盤以外での固定はできない構造です。

ハイブリッド側位はクレードルに固定しているときでないと働きません（当然の仕様です）が、クレードルの固定がこれでは完全にアドバンテージを生かせないでしょう。
どういうことかというと、気圧センサーはともかくとしてほかのジャイロセンサーやGセンサー（本質的には同じ）は加速度計であるため、ある程度車両の動きに追従するような場所に設置したほうがよいのは明らかです。

高層ビルの立ち並ぶ都会ならよいかもしれませんが、わたしのいる地方ではそのようなものはありません。ある程度空の開けているところなら、GPSによる単独側位に対する優位性はほとんど体感できません。

ただこのような直感的な感想を書いても仕方ないので、NV-U2による慣性誘導？がどのくらいのものか実際に試してみました。
結論からいうと、これだけでは実用になりません。意外と健闘しているというのが印象ですが、これだけではダメです。まあ、予想通りです。
やり方は簡単です。クレードルにつけた状態でGPS信号を遮断しただけです。高感度のSiRF　StarIIIを採用(http://www.faq.sonydrive.jp/faq/1040/app/servlet/qadoc?022219）しているため、単に電波を遮断するのは結構難しいです。そのためGPS電波を飽和させて側位できなくする方法をとりました。

取り付け方法はケイマンの運転席側のカップホルダーにクレードルをくくりつけています。しばらく走らないとハイブリッド側位にならないため（おそらく2軸以上のGセンサー出力をGPSと照合して較正している）、しばらく走ってからGPSを遮断します。GPSの捕捉状況を「側位情報」で確認してから再度走り出します。
やはり、加速度を積分して車の速度を推定するのには無理があります。適当な取り付けが邪魔をしているのは間違いないですが、PNDは適当な取り付けをされるものです。これを言い訳にはできません。

停車しているのを検出するのは、振動がないことを検出すればよいのでできると思います（実際にそうしている挙動を示します）が、一定速で走っているときに速度を検出するのは加速度センサーでは原理的に不可能です。
マップマッチングで無理やり道路をトレースしようとしていますが、あまりできていません。川の中に突っ込んだりというのがしょっちゅうあります。
ただし、交差点を曲がるときにはきちんと向きが変わります。これは意外ときちんとトレースしてくれます。ゆっくりしたカーブでは今ひとつですが、交差点くらい急激な向きの変化だとさすがにきちんと検出されます。

しかし、Gセンサー単独では使い物になりません。予想通りの結果でした。


やはり車速入力をできるようにすべきです。車速センサーの線を引っ張るのは大変ですが、車速パルスさえ入力できたら加速度センサーなど要らないくらい改善すると思います。もちろん加速度センサーの出力を較正しつづけることもでき、さらに正確になるでしょう。できれば無線で接続できたら言うこと無いです。その場合はインパネをばらしてセンサーを車速信号に接続して、適当な場所に貼り付けておけばOKになります。
PLCと同じ原理で信号を電源ラインに重畳するなどはできないんでしょうか？ほかの機器に影響が出る可能性がある危険な方法ではあると思いますが、理論的には可能でしょう。
ついでにそのセンサーユニットに3軸の加速度センサーを内蔵しておけば、センサーがどのような姿勢で取り付けられたとしてもGPSとの照合で出力が較正できます。


ここまで好き勝手に書いてきていまさらですが、そこまでしたとしてもGPSのみのPNDに比べて体感できるくらい側位が改善するかというと微妙ですね。GPS用のフィルムアンテナでも用意して感度を改善した方がよっぽど側位が良好になるかもしれないところが微妙です。
明らかに良いのはトンネル内でしょう。あとは高速道路の高架下の道路でしょうか。後者は明らかに差があるかどうかはわかりません。