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新型ケイマン試乗 [ケイマン]

みなさんご存知のように、ケイマンがマイナーチェンジしました。直噴エンジンとデュアルクラッチトランスミッション(PDK)の採用がハイライトですが、デザインも少し変わっています。

別件でディーラーに行ったところ、新型ケイマンの試乗車があったので試乗してみました。その感想などを書いてみます。

簡単にまとめると、後期型はいろいろな意味で丸くなった感じです。完成度は上がったと思いますが、この手のクルマは完成度が高いから良いというものでもないところが難しいところですね。

ケイマンのフロントです(ポルシェのページより)
new_cayman.jpg
外観については、細かい手直しのようでいて実は結構変わっています。ヘッドライトがカレラGT風になっているのはすぐわかるポイントですが、ライトユニット自体が外側に張り出しています。

ちょっとカニ風にも見えます。
Ocypode_quadrata.jpg 
(Wikipediaから借用しました)


リヤはテールライトの変更とともに、バンパーが変わっています。ライトの形に合わせてあり、マフラーが後ろから見えるようにもなっています。
以前も書きましたが、ややゴテゴテした印象でわたしはマイナー前の方が好きです。これは好みの問題でしょう。どちらも良いデザインだと思います。



それでは試乗の感想です。
試乗車はケイマン(素)のPDK仕様、PASM、スポーツクロノパッケージプラス付です。タイヤは18インチのミシュランPS2でした。走行距離は400kmくらいだったのでまだこなれていない状況だったかもしれません。

ケイマンSは3.4Lの直噴エンジンですが、ケイマンは2.9Lのポート噴射です。なぜスタンダードだけポート噴射なのか良くわかりませんが、差別化とコスト削減なのでしょうか。
ただし、2.9Lでもエンジン自体は新設計です。インターミディエイトシャフトを廃したとか、低重心化したとか部品点数を減らしたとか書いてありましたが、わたしたちエンドユーザーにとってはどうでも良いことです。パワーは旧型の245psから265PSに増加しているそうですが、これもどうでもよいでしょう。トップエンドのパワーより低速トルクの方が大事です。

排気量が2.7Lから2.9Lになりましたが、低速トルクは同等です。ただし中回転域のトルクでは2.9Lにわずかにアドバンテージがあります。わずかですので、乗り比べなければわからないくらいの違いです。

PDKはいわゆるデュアルクラッチトランスミッション(DCT)で、平たく言えばVWのDSGの縦置き版です。構造もDSGと同じで、偶数段と奇数段のクラッチが同心円状に配置されているところなど全く同じです。ハイパフォーマンスカーではDCTがはやっていますが、そのトレンドにのったということでしょう。



雑誌では静かになったとか、乗り心地がよくなったとか聞いていましたが、まさにそのとおりでした。
エンジンをかける瞬間から静かになっています。旧型はエンジン始動の時からうるさいのですが、新型は静かに回り始めます。旧型は(特に2006年モデル)「ウイーン」というノイズがうるさいのですが、新型はそんな音はしません。たまにPDKのガチャガチャ音がしたりはしますが、音は相当静かになった印象です。

しずしず走っている時は静かですが、踏み込むと例の木管楽器のようなサウンドが響きます。サウンドのキレ自体は前期型の方がシャープな感じがしますが、どちらも良い音です。
正直言ってこの手のスポーツカーになると絶対的なパワーもさることながら、回り方、レスポンス、振動、サウンドなどのフィーリングの方が大事です。その意味ではポルシェのエンジンは良いエンジンです。パワーはたいしたことはありませんが、レスポンスはさすがです。

あとは素ケイマンはブレーキが大型化されました。径がケイマンSと共通になりましたが、これは明らかに変わりました。タイヤの影響を排除するのは難しいですが、さらにリニアに効きます。ちょっとうらやましいです。


乗り心地もぜんぜん違います。旧型と比べると、新型はPASMのスポーツモードとノーマルモードくらい違います。段差などでの当たりがあきらかにマイルドです。突き上げが減った感じですね。ハンドリングはあまり試せませんでしたが、そんなに変わった感じはしません。
これは悔しいですね。わたしのは17インチのPASM付きでパイロットスポーツ2なので、たぶん最も乗り心地は良い部類に入る仕様だとおもいますが、明らかに負けています。

ステアリングが軽くなったとのことですが、あまり感じませんでした。車庫入れのようなシチュエーションで乗っていないので感じなかったのでしょう。


PDKはよくできています。ポルシェのトルコンATのかったるさには辟易していましたが、やっとスポーツカーに相応しいトランスミッションが載ったという印象です。つまり、PDKが良いのではなく、ティプトロATがだめというのが正確なところでしょう。低速での挙動も問題ありません。
PDKはMTと比べてとくに不満はありませんが、それでもわたしはMTが好きです。MTも大してシフトフィーリングが良いわけでもありませんが、やはり自分で操作しているという満足感は他に代えがたいものです。

ただもしMTとATで迷うなら、絶対にPDKにすべきです。迷うようならMTは買うべきではありません。

内装に関してはセンターコンソールは明らかにコストダウンした印象です。もともと安っぽいのですが、ますます安っぽくなった感じがします。まあこんなものでしょう。
もともとアイと比べるとエアコンパネルの使いやすさははるかに劣っています(つまり大半の日本車より劣っている)が、それは変わりません。



全体としては乗り心地と騒音が改善され、より一般受けする性格になった印象です。もちろん動力性能も向上しており、店の人が「911いらず」と言っていましたがそうかもしれません。

ケイマンは限界域ですぐテールが出るセッティングになっていますが、LSDを付けたらそれがマシになるのか、それとももっとひどくなるのか?これは興味のあるところなので、もし買った方がおられればぜひ聞いてみたいところです。


実はこの試乗は997後期型とケイマンを連続して試乗したのですが、正直言って997を欲しいとは全然思いませんでした。おそらく激しい横Gをかければ911の良さがでてくるのでしょうが、997は街中でも結構ピッチングするのにげんなりしました。ケイマンにはそのようなことは無く、もっと一般向けと感じました。

また自分の08ケイマンMTと比較してもだいぶマイルドになっており、正直にいってあまり欲しいとも思いませんでした。スパルタンなところがだいぶ丸くなっています。
スパルタンなのを望むなら前期型を買った方が良いです。乗用車としての完成度は後期型が明らかに優れていますが、それでも欲しいとは思わなかったのが意外でした。

旧型は結構エンジンノイズがうるさく、まあ悪い音ではないとわたしは思いますが大半の人は「騒音」と感じると思います。長距離を走ると、その音で結構疲れます。
ステアリングフィールはよく、トルクもあるのでその意味ではラクですが、音がボディーブローのように疲れに効いてきます。新型ケイマンはエンジン音自体が下がったことと、PDKの7速はかなりハイギアードなので両方でかなり静かになっているはずです。
その意味で、長距離をメインにする方は新型をお勧めします。ワインディングをかっ飛ばす方は前期型MTをお勧めしておきます。
また新型のケイマンSの直噴に乗ってみます。そうしたら評価は変わるかもしれませんが、素同士の比較ではそのように思いました。


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