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ロールスロイス RR300 & R66 考察 [ヘリコプター]

少し前にR66に乗ったことを記事にしました。人生で初めてタービンエンジンの乗り物を操縦しましたが、当然その時にパワープラントであるRR300のことも勉強しました。

操縦するという点よりも単純にタービンエンジンに興味があるため、素人ながら勉強してみたことを書いてみます。推測も入っていますが、できる限り正確に記載するように心がけました。

RR300 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%82%B9_RR300

英語版 Wiki RR300
https://en.wikipedia.org/wiki/Rolls-Royce_RR300


RR300はこんな見た目です。
WS000005.JPG


そもそもですが、RR300は有名なアリソン250の改良(簡略?)版です。

アリソン250 Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%BD%E3%83%B3_250

アリソン250はジェットレンジャーなどに採用された小型ターボシャフトですが、高い信頼性とヘリ用として完成度の高いレイアウトをもち、ローエンドのターボシャフトエンジンの典型的モデルです。

軸流コンプレッサー+遠心コンプレッサー(最終段)をもち、反転型燃焼室です。さらに燃焼ガスを反転したまま前側に流し、パワータービンが前側にあるのが特徴です。つまり、燃焼用の圧縮空気が、ぐるっとエンジンの周りをまわるようなレイアウトになっています。


下側からみるとこちら。下側についている円筒形のものがスタータージェネレーターです。
WS000009.JPG


そしてRR300は、アリソン250をさらに単純化しています。圧縮機は遠心1段で圧縮比は6.2となっています。旅客機のターボファンエンジンの圧縮比が20-30などになっていることを考えると低いです。

コンプレッサーのイラストです。
WS000006.JPG


インレットからブリードエアハウジング、コンプレッサーからディフューザーです。
WS000008.JPG

なお、ジェットレンジャーのアリソン250では低出力時はブリードエアバルブは開きっぱなしらしいです。
RR300では、R66のPOHによるとエアブリードを行っているときと、逆に空気を吸っているるときがあるようです。バルブなどはないようでしたが、現物を確認していないので確たることは言えません。


タービンはガスプロデューサータービンが軸流2段で、パワータービンが軸流2段になっています。
タービンは遠心式にする意味はないようです。あまりにも当然で記載する必要のないことですが、1軸式ではなくフリータービン式です。



軸の配置はこのようになっています。(どっかにおちていたRR300 のマニュアルより)
WS000007.JPG

N1が50100rpmです。N2の出力が33290rpmで、それを6016rpmに2段で減速し出力していることがわかると思います。
またStarter-generatorが12000rpmで回るようです。

当たり前ではありますが、レシプロとはケタの違う回転数です。タービンエンジンが小型で高出力であるのは、各サイクルを分業としているのが一番ではありますが、回転数が高いこともそれに寄与していると考えます。

なお、MGTのリミットは10秒間だけ927度(セ氏)です。あとはTOPで782度で、連続使用は706度ですが、スタートの時は782度と927度が問題となるでしょう。
ホットスタートというのは、エンジン始動の際に温度が上がりすぎてタービンや燃焼室が損傷することですが、もっとも大きな理由はバッテリーの消耗です。タービンエンジンは始動に大きなエネルギーが必要となりますが、R66ではバッテリー駆動のモーター(&ジェネレーター)で回転させます。

そこでN1がアイドルの65%まで(正確にはスターターが切れる58%まで)上がれば問題ないですが、回転数が十分上がらなければガス温度がどんどん上がり、ホットスタートになります。
MGTセンサーはガスプロデューサータービンとパワータービンの間にあるため、もっとも温度の高い1段目のガスプロデューサータービンの翼の温度はMGTの表示よりははるかに高いでしょう。
翼の冷却がどのようになっているのかは知りませんが、おそらく凝った冷却システムはないでしょう。無冷却の可能性も高いと思います。


この意味では、R44(レシプロエンジン)ならバッテリーが弱っていてもただエンジンがかからないだけで済みますが、R66だとホットスタートでエンジンを壊す可能性があり、バッテリーの状態にはより気を付けないといけないと思われます。

そのため?か、外部電源ポートがあり規格化されています。

ポートにつなぐリチウムバッテリーも市販されています。
https://www.start-stick.com/

まあ、個人的には手持ちのリチウムバッテリーを毎回つなぐのが、充電状態が事前に確認できバッテリーの温度も常温でしょうから、安心できるのかもしれません。
ただし、外部電源ポートがエンジンコンパートメントにあるため、エンジン始動後自分では外せません。だれかに外してもらう必要があります。


なお、始動前にバッテリーの電圧が25.4V?以上あることを確認する手順があります。当然ではあろうと思いますが、開放電圧のみで充電状態がわかるのでしょうか?微妙な気もします。

そして、スターターを回している時には、びっくりするくらい電圧が落ちます。21Vとかになるのですが、相当の電流が流れていることがわかります。
そして燃料を供給してN1がどんどんが上がると、スターターの負荷が軽減するようで電圧もどんどん上がります。そして60%弱のSelf-sustaingになるとスターターの負荷はなくなり、58%で電源供給も切れます。




スタータージェネレーターと燃料コントロールユニットです。エンジン下側にある円筒形のものがスタータージェネレーターです。
R66_gen.JPG

かなりサイズが大きいことが特徴的です。スターターも大出力が必要でしょうし、冷却ダクトも外気に直接接続されていますが、かなり太いです。当然かもしれませんが、スポンジのエアフィルターもついています。

R44のエンジンはバッテリーがなくなってもオルタネーターが切れても止まりません。電子制御がなく点火もマグネトであるため、外部からの電源の供給がなくてもそのまま回り続けます。しかし、RR300はFCUがあるため電気がなければ動かない可能性が高いと思います。(POHには記載がないですが。)



まあ、R66というのはロビンソンとしてはフラッグシップなのでしょうが、タービンヘリとしては本当にローエンドです。
R22ほどの徹底はない感じですが、エンジンに関しても簡素化をかなり追及しているように見えます。


いろいろ書いてみましたが、RR300にかんしては資料が少ないです。日本語ではほぼ皆無ですし、英語でも以外と少なく、詳しいところが今一つわかりません。ひきつづき資料をさがして勉強する予定です。
もうすこし余裕ができたらタービンの始動音も楽しめるようになるかもしれません。
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