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モータファンイラストレイテッドvol28 「排熱利用のテクノロジー」紹介 [クルマ関係]

モーターファンイラストレイテッドというシリーズがあります。月刊であり興味深い記事が多いので毎月買っています。Vol28は「排熱利用のテクノロジー」と銘打って排熱を利用する技術を紹介しています。

これには正直言って意表を突かれました。これまでの特集では「エンジン」とか「トランスミッション」とか「タイヤ」などわかりやすい特集が多かったのですが、排熱利用にくるとは思いませんでした。

最初に書いてありますが、「エンジン単体の効率はこれからは大幅な上昇は難しいだろう。しかし、排熱は暖房と触媒以外にはほとんど使用されていない。これを利用できたら効率は上昇する」と言うような記述があります。全くそのとおりでしょう。その意味で今回のこの特集は非常に意義深いと思います。

ちなみに、車だけでなく船の例も出てきます。手法も単なる熱利用から直接発電、スターリングエンジンなどいろいろな手法が出てきます。

モーターファンイラストレイテッドは傑作が多いシリーズですが、この号も傑作のうちに入ると思います。



最初は単なる排気熱回収システムです。触媒の直後から冷却水に排熱を回収するシステムです。
暖機の促進のみの機能ですが、暖房がラクになるためハイブリッドでは特にメリットがあるシステムです。というか、エスティマハイブリッドにはすでに採用されています。

ぜひアイにも採用して欲しいです・・。アイはとても暖機が遅く困ります。というかヒーター回路に暖かい冷却水が回るのが遅い。おそらく、バイパス回路がエンジン内で完結しているためで、リヤエンジンでは無理もない構造でしょう。

全く知りませんでしたが、北米仕様プリウスは冷却水を貯める魔法瓶付きなんですね。知りませんでした。寒いところで使われるからでしょうか。テクノロジー的には全く面白くありませんが、現実的な選択だと思います。

次はランキンサイクルです。まあ要するに高熱源で作動流体を気体にして、運動エネルギーを回収するシステムです。蒸気タービンと同じサイクルです。ホンダのものはエンジンルーム内で完結しているようで現実的な開発をしているようです。

さらにはゼーベック効果による直接熱電変換です。ここは材料の勝負でしょう。個人的には一番システムが簡単で将来性があるように思いますが、コストが高いのでしょう。


最後はスターリングエンジンを船に積んでテストしています。
この号の白眉はここです。熱効率が0.4%だったそうですが、意味は十分あるでしょう。船なら重量と容積の制約が少ないでしょうから、発展性はきわめて高いでしょう。非常に興味深いところでした。

排熱利用は今すぐに普及するかどうかは疑問ですが、将来性は十分ある技術と感じます。
このような横断的な記述ははじめてみました。熱サイクルの知識は少し要りますが、非常に興味深い記事なので興味がある方には非常にお勧めです。



スチール・ボディの説明も良い記事です。
結局のところほとんどの車が鉄で作られているわけであり、それはおそらく当分変わりません。鉄もいろいろ進化していることがひしひしと伝わってくるいい記事です。




最後の方にホンダのガスエンジンコージェネシステムがでてきます。以前にも取り上げられていましたが、このシステムこそ(民生用では)排熱利用の最も良い例ではないでしょうか。
エンジン単体での熱効率はたいしたことはありませんが、排熱回収の徹底ぶりはすさまじいです。これもテクノロージー的には面白いシステムと感じます。




つらつら書いてしまいましたが、この号は他の雑誌ではなかなかない視点が満載です。お勧めします。
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