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ロビンソンR66搭乗 遊覧 [ヘリコプター]

少し前に水上機に乗った記事を書きましたが、今回はヘリです。自分が訓練を受けたのはR22でしたし、R44も少しは乗ったことがあります。
そのため、今回は乗ったことのないR66に乗ってみました。といってもタービンの免許は持っていないので、単に遊覧で横に乗っただけです。それでもかなりいろいろ感じることがありました。

非常に楽しかったです。わずかの時間R66に乗っただけですが、いろいろなことを感じました。
今回はその素人の感想を書いてみます。

機体はこちら ロビンソン R66
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロビンソン_R66


なお、本来なら機体の各部を詳細に写真に撮影して説明を付けたいところですが、東京ヘリポートはハンガー外は撮影禁止であり、機体がヘリパッドにおいてあったため、今回はヘリの外部からの写真はありません。しかし、R66の外観はR44とそっくりですので、そのような説明はすべて省略します。

また、今回の記事では専門用語の説明も省略します。必要におうじてWikipediaを引用しておきますが、不明な点は適宜検索してください。


今回は遊覧はどうでもよく、R66に乗ること自体が目的であったため、いろいろな会社に電話して相談しました。
その結果、遊覧飛行を日本フライトセーフティ(NFS)に依頼しました。R66は自家用機であり、都合がつかなければR44に変更もありうるとのことでしたが、今回はR66に乗れてラッキーでした。


R66
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロビンソン_R66

R44
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロビンソン_R44

離陸はNFSがある東京ヘリポートからです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/東京ヘリポート




まずは、受付をしてから簡単なセキュリティチェックです。安全DVDみたいなものを見せられますが、後ろから近づくなとか、メインローターの下でジャンプするな、という程度のパイロットにとっては当然のことばかりの羅列ではあります。
また、セキュリティゲートのようなものがあります。実際にそのように使用しているのだと思いますが、本格的です。
1.JPG


ということで離陸です。できればスタートアッププロシージャーを見たかったのですが、それはかないませんでした。

なお、今回乗った機体では、シートベルトのバックルが車と同じようなものになっていました。これまで乗ったR22とR44は、いずれも旅客機と同じものだったので違和感がありました。
ホバリングでライトオンスキッドから浮くときの感覚はR44そっくりに感じました。地上ではスティックはニュートラルにしておき(そうしないと振動の原因になります)、浮く瞬間に重心位置にスティックを持っていく感じも同じです。
また、RR300ターボシャフトのトルクをじっと見ていましたが、ホバリングで60-70%程度まで出ていました。R44のレイブン2(IO-540 インジェクションのガソリンエンジン)でも同じような感じであり、タービンだから特別パワフルという感じは(地上では)なかったです。
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コ・パイロット席の前方です。明らかにRAMマウントの1.5インチボールです。いろいろなものを固定するのにはRAMマウントは非常にすぐれています。
3.JPG


計器はグラスコクピットです。PFDやVORが右側に見えます。GarminでなくASPEN Avionics製なのは、単純に安いかららしい。1万ドルくらいらしいですが、そうなら相当安いです。
あとは、カーナビ?的なものもついています。

PFD
https://ja.wikipedia.org/wiki/旅客機のコックピット#PFD

速度計に注意ですが、Vneが140ktであることに注意です。これを速いととるのか、R44と大して変わらんととるかは微妙なところでしょう。
その下にクラシックな高度計があります。懐かしい感じです。
4.JPG

なお、デジタル計器はアナログと比べてレスポンスが悪いとのことで、アナログに慣れ親しんだパイロットは嫌がるひともいるらしいです。自分はレスポンスが悪いとはまったく思いませんでしたが、なんとなく理解はできます。ボーイングで育ったパイロットがエアバスのグラスコックピットに違和感を感じるのと同じ現象でしょう。

なお、アナログ計器はよく壊れるらしいです。ヘリは振動が多いことなどから、途中でオーバーホールするようになることも多いらしい。その意味でもデジタルがお勧めとのことでした。


右側はPFD+VORですが、これについては説明しません。見たままです。
5.JPG


VOR
https://ja.wikipedia.org/wiki/超短波全方向式無線標識

その右に回転計があります。R22とR44では、左側はEngineでしたが、R66はタービン(当然ながらフリータービン式)なので、当然ながらN2と表示されています。もちろん右はRotorです。クラッチが締結していれば、当然この二つの針は連動して動きます。


ターボシャフトエンジン
https://ja.wikipedia.org/wiki/ターボシャフトエンジン

なお、N1というのはガスジェネレータータービンの回転数のことであり、要するにエンジン自体が発生しているエネルギーの目安です。N2はパワータービンの回転数であり、ガスジェネレータータービンが吐き出すパワーを受け取る出力軸の回転数です。ローターと基本的には直結であるため、ローター回転数とも通常の場合一致します。


その下は、大切な大切なトルクメーターです。レシプロのバキュームゲージ(MAPゲージ)と比べて%表示なので直感的でよいです。それにタービンなので、レシプロのようにフルスロットルに当たっているかどうかを気にする必要がありません。(トルクを見ないでいいという意味ではありませんよ)
レシプロだと、バキュームゲージの上限が大気圧になるのですが、上限が高度によって変化するため、今スロットルがどれだけ開いているかはすぐにはわかりません。そのため、フルスロットル警告灯があります。

負圧計
https://ja.wikipedia.org/wiki/負圧計

その下にいろいろな計器が並んでいます。ある意味エンジンスタート時に一番大切なMGTもあります。タービンの始動時には、このメーターをにらみつけることになるでしょう。やや驚きなのは、単位が華氏でなく摂氏です。やはりイギリスのロールスロイスだから?よくわかりません。

あとはエンジンの潜在(?)パワーを表すN1があります。これも大切な計器です。
6.JPG


その下の計器です。ここは同じなのであまり説明はいらないと思います。
7.JPG


屋根にはサンルーフ?がついていました。
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たまには景色です。向こうに見えるのが羽田空港です。こうして空からみると近いですね。
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バンクして東京ヘリポートに向かう途中です。よく見ると1時方向にヘリが飛んでいます。遊覧中にも何機もヘリをみました。やはり東京は都会ですね。
10.JPG


天気がよく、また雨の翌日であるためヘイズが少なく、スカイツリーがキレイに見えました。かなり良い景色でした。景色も一応は堪能しました。
ちなみに、この日はソニーのRX100 M5をレンタルして、それを使って写真を撮影しました。RX100の画質には定評があるとのことでしたが、確かに画質はよいです。レンタルしてみて、RX100がほしくなりました。
11.JPG


見えにくいですが、遠くにとまっている黒い機体が今回乗ったR66です。
13.JPG

なお、東京ヘリポートのとなりに海沿いの散歩道があります。この写真はそこから撮影しました。
おそらく日本で最もヘリを見物するのに適した場所は、この散歩道にあるベンチでしょう。以前に東京に行ったときにも見物しましたが、エアバンドレシーバーとヘッドホンなどを持っていき、べんちで機体を眺めるというのもなかなか暇つぶしに良いでしょう。(もちろんヘリマニア限定)




遊覧で機体から降りたあとに整備士さんと話すことができ、質問攻めにしました。最初の質問は、「テールローターの回転方向はR44と同じですか?」という内容であり、おそらくその質問でメカに興味があることは伝わったでしょう。
なお、この答えはR44とR66は同じです。ただしR22は違いますが、シュワイザー300などもそうですが、むしろ例外的とのことです。理由も聞きましたがわすれました。
そのメカニックも明らかにオタク的であり、すべての質問に即座に答えが返ってきました。(素人の質問なのでそれが当然ですが。)


R66は、要するにR44のレシプロエンジンをターボシャフトに換装した機体です。といいたいところですが、実際にはかなりの部分が大型化されており同じものでもないのですが、見た目は極めて似ています。窓の形などが異なるため、見分けるポイントはあるようですが、素人のパッと見には区別できません。

また、以下の構造に関しては、ロビンソン社のWebにマニュアルおよびパーツカタログがあります。パーツカタログは事実上の分解図なので見てみると構造はよく理解できます。
Publicationの項にいろいろ掲載されています。POHもオペレーションのことが詳細にかいてあり、非常に勉強になります。

https://robinsonheli.com/


パワープラントはロールスロイス製のターボシャフトエンジンである、RR300です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Rolls-Royce_RR300

このエンジンのブランドはRRですが、実際にはジェットレンジャーで使用されているアリソン250の派生型らしいです。

アリソン250
https://ja.wikipedia.org/wiki/アリソン_250

原型機はコンプレッサーが軸流+遠心1段らしいですが、RR300は遠心1段のみになっていて簡素になっているらしい。その影響で圧力比は6程度と低いですが、極限の燃費を追求する機体でもないでしょうからこれでよいのでしょう。

ホットスタートしやすいのでは?と質問してみましたが、他と同じとのことでした。ただし、R22およびR44からステップアップした人は、スターターを入れた後にすぐ燃料を送ってしまうことがあり、その場合はホットスタートになります。気持ちは非常にわかります。R22、R44ではエンジン始動は一瞬ですのでね。
なお、FADECにはなっていないらしい。安くしたいのでしょう。FADECならホットスタートにはなりにくいと思います。

ホットスタートの動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=aKzUbiFtvD4


また、ブリードエアはどうなっているのかと聞きましたが、バルブは開きっぱなしらしい。サージングしにくくしている?しかしそもそも遠心コンプレッサーのみなのでストールもしにくいようには思います。

なお、スプラグクラッチはエンジン内にあるようです。また、当然ですがフリータービン式なのでいわゆるスターティングクラッチはありません。そのため、R22/44と違ってエンジン始動後クラッチを即座にエンゲージするような手順はありません。

エンジンは機体後ろに斜め上に向けて設置されています。タービンでは一般的な配置ですが、出力軸にはおなじみのフレックスカップリングがありました。ロビンソンの伝統ですな。


トランスミッションオイルクーラーはかなり大きかったです。エアコンのコンデンサーももちろん大きいのですが、オイルの冷却にも相当気を使っている印象でした。

R22はメインローターギアボックスが飛沫潤滑らしいですが、R66はオイル圧送にしているとか。まあ、現代の車ではトランスミッションの飛沫潤滑など見たことはないので、当たり前かもしれません。デフギアならわかりますが。



R66は安定感はあります。R22よりもR44よりも明らかに揺れません。安定している感じでしたが、運動性はR22の方がよいのかもしれません。妻も乗り心地はR44より良かったといっていました。

横に乗っていただけではありますが、パワー感はR44とR66で決定的に違うという印象はありませんでした。もちろんR66の方がパワフルではあるでしょうし、タービンなのでN1の制限にさえ気を付ければ、高密度高度でのパワーの落ち込みは少ないだろうと思われます。
ただ、シーレベルでのホバリングパワーには、R44レイブン2と劇的な差は感じませんでした。ただし、もちろんR22とは雲泥の差です。R22とR44には明らかな差がありますので。


ラゲッジは広いです。R22にはシート下以外にはまともなラゲッジはないですし、R44もラゲッジは乏しいですが、R66は非常に広いです。ここが最もR44との違う部分かもしれません。
ゴルフバッグも入るらしいです。
また、オプションで補助燃料タンクも積むことができ、さらに航続距離を延ばすことができるとか。

なお、R22/44はガソリンエンジンなので、当然ながら燃料はAvgasになります。通常の旅客機が使用するJetA1ではないため、どの空港にもあるというわけではありません。逆にR66はジェット機が着陸する空港ならどこでも手に入るため、R66の方が利便性が高いかもしれないとのことでした。
これを解決するならセスナ172の最新型が採用するFIのディーゼルエンジンでしょう。ちょっと想像できませんが、次のR44が採用する可能性はゼロではないかもしれません。

また、R44とR66は燃料消費量はそこまでは違わないそうですが、燃料の価格が全然ちがうため、運航コストはものすごく違うというわけではないらしい。さすが灯油です。そして使用量のケタが数ケタ以上違うでしょうから当然かもしれません。

航空用ガソリン
https://ja.wikipedia.org/wiki/ガソリン#航空用ガソリン

ジェット燃料
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジェット燃料


遊覧での景色はきれいでした。東京中心部の名所の数々が見えます。スカイツリーもよく見えました。
しかし、そんなことよりメカニックとディープな話ができたことが最高でした。久しぶりに同じ世界の人と分かり合えた?ような気がしました。
自分の職業は全くヘリと関係ありませんが、久しぶりにこの世界の片隅がみえてうれしかったです。

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