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「技術の日産 Next モーターファン vol 170」 書評 [クルマ関係]

今回は書評を書いてみます。「モーターファンイラストレイテッド」という月刊誌があり、自動車の技術について延々と書いてある特殊な本です。一般向けではありませんが、きわめて技術オリエンテッドであり、そのような記事が好きな人には楽しい本です。

今回はVol170であり、「技術の日産 Next」というサブタイトルでいろいろな記事があります。さすがに日産という大メーカーであり、EVから可変圧縮比エンジン、自動運転までいろいろな側面での記事が載っています。

モーターファンは面白いときと、内容が薄くて微妙な巻があるのですが、この日産特集は明らかに当たりです。技術好きにはお勧めいたします。

「モーターファンイラストレイテッド 技術の日産 Next」 Amazonにて


目次を抜き出すと以下のようになります。

パワートレーン
ダイナミックパフォーマンス
自動運転
GT-R&Z
生産技術

となっています。

まずパワートレーンですが、アリアの話が出てきます。アリアは来年あたりに発売される次のEVですが、バッテリーが60kwhと90kwhとなり、一言でいえばテスラ型の重くて速いEVです。もちろハイパワーです。
そしてこれまで日産の電動車につかわれてきたEM57型のIPM同期モーターをやめるようです。テスラや後輪用モーターは誘導モーターのこともあるでしょうが、基本的に電動車のモーターはIPM同期モーターであり、アイミーブもリーフもそうなっています。モーターの知識があまりないためよくわかりませんが、かなり珍しい選択のようであり高速域での効率は良いようです。

また音振もよくなるとのことですが、EVはすでにICE車に比べてはるかに良いわけで、これからは異次元の静粛性をもつEVの中でもそのような競争が始まるのでしょうか。
モーターの特性をみていて思いましたが、IPMモーターは高回転が基本的に不得手ですので、やはりトランスミッションをかませるのが進む道かもしれません。タイカンやトヨタの縦置きTHSのように。


次はe-Powerです。おそらくもっとも成功したシリーズハイブリッドでしょうが、いろいろな制御をいれてセッティングしているようです。ただ、そもそも現時点では専用エンジンではないため、まだまだ改良の余地はあるように思いましたし、記事内にもそれは記載されています。


そして、今回の白眉と思われる、e-POWERの論文および可変圧縮比エンジン(KR20DDET)の分析です。畑村博士による記事であり、プロの記事です。この記事は最高に興味深いです。
可変圧縮比は昔からの夢だったみたいですが、日産はしれっと採用してアメリカなどで売っています。この方式では、二次振動を抑制できるとのこと。直4の宿痾である二次振動を抑制できるならまさに直4向きの技術でしょう。


なお、アリアには4駆があります。e-4orceとのことですが、FWDのリーフであれだけ速いなら、4駆ならバカみたいに速いでしょう。




いろいろ書きましたが、やはり日産という大メーカーであるため、取材することが多かったのでしょう。実にいろいろな側面の記事が掲載されており、非常に興味深かったです。

なお、私は901運動の時代には車には乗っていません。また日産車はこれまでR35しか買ったことはありません。とくに日産に強い思い入れがあるわけではありません。ただ、それを差し引いても興味深いです。
コロナで車会社も苦しいでしょうが、R35のようなぶっ飛んだ車をよく作ったと思いますし、日産という伝統あるメーカーには生き残ってほしいです。
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