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「ネイピア デルティック」 水平対向ピストンエンジン [航空機全般]

レシプロエンジンの効率(というか燃費)向上が至上命題となっており、車用エンジンでもいろいろな機構が試されてきています。最大の飛び道具がハイブリッドですが、いくらハイブリッドとはいっても最終的にはエンジンの効率が問題となります。

ということで、対向ピストンエンジンも注目されているようです。一つのシリンダーにピストンが向い合せに2つあるようなエンジンです。

なお、一般的に水平対向エンジンというのは、水平対向シリンダーエンジンのことであり当家に2台あるのはこちらです。それとは異なりますので念のため。

そして、この水平対向ピストンエンジンのある意味頂点が、ネイピアデルティックです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%94%E3%82%A2_%E3%83%87%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF

今回はこれについて書いてみます。



水平対向ピストンエンジンは、ピストンが打向い合せに動くため、圧縮比および膨張比が高く取れます。クロスヘッドにせずトランクピストン機構でもかなり高く取れるのが特徴です。

Youtubeでのアニメーションをみると構造が一目瞭然だろうと思います。
https://www.youtube.com/results?search_query=napier+deltic


まあ、対向ピストンエンジン自体は大戦中にユンカース ユモ205などで実用化されているため新しい機構ではありません。が、その後通常の形式のエンジンが進歩したため、最近は使われていないということでしょう。そして、「通常」のエンジンの限界が近づいてきたため、再度注目されているのだろうと思います。

なお構造的に対向ピストンエンジンは、当然ながら水平対対向?になります。つまりクランクシャフトが2セット必要になります。
そして、ネイピアのデルティックはクランクシャフトを3セット三角形の頂点に配置して、各辺にシリンダーを配置するというトンデモエンジンになっています。複雑ですがコンパクトにできそうで、比出力は高そうです。

ある意味、レシプロエンジンの一方の横綱である、空冷星型28気筒のワスプ メジャーなみのマニアックさです。ちなみに出力もおなじような感じであり、反対側の横綱がネイピア デルティックではないかと思います。


ちなみに、参考書を挙げるならこちら。 最後のほうに詳しく載っています。






デルティックは、魚雷艇用に開発されそちらはある程度の成功を収めたようですが、その後の機関車用は今一つだったらしい。やはり無理がある構造だったのかもしれません。ただ、現在の技術で正しく作れば問題ない可能性はあるかもしれません。

しかし、ターボシャフトエンジンがある現在、そもそもハイパワーなピストンエンジンというものに需要があるのかどうかは疑問です。
まあ低出力で高効率というのであれば需要はありそうで、それが畑村博士も大好きであろうとおもわれる、ピナクルエンジン等の対向ピストンエンジンということでしょう。

いちいち三角形にしなくても、水平対向のまま(つまり1辺のみ)で成立させるのはありうるかもしれません。



イギリス人は、たまにトンデモエンジンを作ります。ある意味アメリカよりもとんでもないものが出てくるように思います。そしてソ連は信頼性と量産性を最重視しているようですのでこのようなキワモノは作らないような感じです。


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