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ロビンソンR22 クラッチ不具合 [ヘリコプター]

以前にR44のクラッチの記事を書きましたが、そのなんと数日後に実際にR22のクラッチの不具合を体験しました。別に危険ではなかったのですが、それについて書いてみます。

R22/44のクラッチの構造については、以前の記事をご確認ください。
https://jl4ouf.blog.ss-blog.jp/2022-04-30



不具合の種類は、「エンジン停止後にクラッチが切れていない」というものでした。クラッチが切れないというのは、具体的にはベルトが緩んでいなかったということです。

自分は着陸後にクリティカルなところを見て回るようにしており、メインローターブレードのBond line、テールローターのブレード、テールのコントロールロッドなどを見るようにしています。その一環でベルトのテンションもチェックします。
するとベルトが張りっぱなしであり、異常だったので原因を追究しました。(ちなみにこの時は出先でありホーム空港ではありません。ホーム空港ならすぐ整備士さんにチェックをお願いする状況です。)

飛行中に不具合は感じず、シャットダウンも完全にチェックリスト通りに実行しており、その過程で全く不具合は感じませんでした。(異音などもなし)

クラッチはOFF(Disengage)にしており、クラッチライトも点灯していました。停止してからマスタースイッチをOnにしてクラッチスイッチをカチャカチャうごましましたが変化ありません。クラッチライトも点灯しています。
次にクラッチブレーカー、クラッチアクチュエーターのヒューズを点検し、一応ヒューズも予備に代えてみました。いずれも変化はありませんでした。

この段階でダウンリミットスイッチあるいはオーバーリミットスイッチの不具合が考えられ、そのあたりを触っていると、突然アクチュエーターが起動してクラッチが切れました。(整備士さんにも電話でアドバイスをもらっています。)

ちなみに、クラッチが切れないとエンジンがかけられません。スターターがローターシステムごとエンジンを回すことになり、過負荷で回らないと思われます。(無理やり回し続ければ回るのかもしれませんが、たぶん無理でしょう。)



あとで不具合の原因を聞いたところ、ダウンリミットスイッチの(半)断線であったようです。
予想していたのと同じような原因であり、トラブルシュートがある程度できていたということになります。システムを詳しく勉強していてよかったと心から思いましたが、このようなタイミングでトラブルが起こったことにも運命?を感じました。

なお、この不具合は飛行自体にはほとんど問題はありません。ベルトが伸びた時の張り直しができない可能性はありますが、おそらく通常の飛行は継続できるでしょう。
むしろアクチュエーターが緩む方向に勝手に動くことが強く疑われる場合は、クラッチのブレーカーを切ってしまえばすくなくとも現状の張力はほぼ保たれます。(POHにはこのような状況の記載はない。)

そして、この不具合はエンジンが始動できないので離陸できなくなりますが、着陸できなくなるわけではないため、フェイルセーフが安全方向に機能しているといえるでしょう。本当によくできていると実感しました。

航空機には信頼性が最も大切と思いますが、ロビンソンR22は40年前から積みあげられた実績があります。古い構造ではありますが、信頼できることは性能よりもある意味大切です。
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